厳しい経済制裁がロシアに対して行われる中、ロシアからの帰国を決断した日本人留学生に国内の様子を聞くことができました。

(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「まさか夢にも思っていませんでした。こんなことになるとは」

モスクワ国立言語大学に去年9月から留学している中谷伊吹さん(20)。ロシア語を学ぶために今年7月まで滞在する予定でしたが、ウクライナへの軍事侵攻の余波を受けて、3月24日に日本へ帰国する決断をしました。
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(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「僕たち留学生だと、きょう(3月10日)からカードが使えなくなりますし、ビザやマスターカードが。モスクワ中の銀行を回って現金を引き出しに回っていましたね」

またロシアの通貨「ルーブル」を円と交換して入手することも困難な状況だといいます。

(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「物価の違いからか日本円からルーブルに引き換えるのが難しくなっていて。結局、紙幣を引き出せなかったんですよ。なので僕の場合は、自分の持っていた服などを知り合いや友達に『これ買ってくれないか』と話して、ルーブルを手に入れている状況ですかね」
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欧米の経済制裁により生活していくことが困難になったため、食料品を買いだめして、なんとか帰国までしのごうとしています。

(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「カップラーメンやパン、ジャガイモとか。袋3つ分を買いだめしている状態で、冷蔵庫もなんとかぎちぎちに入れている状態です」
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大手企業によるロシアでの事業撤退や縮小の動きも広がっていて、「マクドナルド」はロシア国内の全店舗の閉鎖を決めています。
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その一方で中谷さんは、ニュースなどを見ても、「軍事侵攻をしている国にいるような雰囲気は感じられない」といいます。

(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「(Qロシアのメディアは今回のウクライナ侵攻・戦争を伝えている?)どちらかというと、ロシアメディアはロシアからの戦争の経過、どういう状況なのかを伝えている感じですね。日本のニュースのように、ウクライナ人がどのように過ごしているかや、どのような状況なのかは、あまり流れているようには感じませんでしたね」

今は一刻も早く事態が終息に向かうことを願うばかりです。

(ロシアの大学に留学中の中谷伊吹さん)
「留学生は帰国すればそれで済みますけれども、ロシアの人たちはそれができないですし。もちろん、ウクライナの人たちが一番大変な思いをしているので、早く終わってほしいと思っています」

軍事侵攻が始まって2週間あまり。日本とロシアの友好関係にも暗い影を落としています。