東日本大震災・原発事故

次期政権に望む復興政策「風評被害対策」最多26.5% 福島民報社世論調査

2021/11/07 09:54

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 第49回衆院選に絡み福島民報社が福島県内の有権者を対象に実施した電話世論調査で、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興に向けて次期政権に望む政策を聞いたところ、「風評被害対策」との回答が26・5%と最多を占めた。「トリチウム処理水対策」の19・5%と合わせると約5割の有権者が、福島第一原発の廃炉に伴う喫緊の課題と捉え、早期解決を求めている表れとみられる。

 年代別で見ると、「風評被害対策」と回答したのは、30代が31・4%で最も高かった。60代が29・0%、50代が28・7%、29歳以下が26・4%、40代が24・5%、70歳以上が21・8%と続いた。

 60代以下の各年代とも全回答の中で最高となり、多くの県民が観光業や農林水産業、商工業などあらゆる産業に影響を与えている風評の払拭(ふっしょく)を求めていることがうかがえる。

 2番目に高い割合だった「トリチウム処理水対策」は、70歳以上が24・6%で最も高かった。50代、40代とも2割強を占め、風評被害対策に次ぐ割合だった。一方、40代以下の各年代は処理水対策よりも「県民の健康管理」を重要と捉えた。若い世代ほど健康への直接的な影響を回避する政策を重視している結果となった。

 職業別では、農林水産業と自営・自由業の3割以上が「風評被害対策」と答えている。正社員・正職員、専業主婦、年金・無職などでも「風評被害対策」の割合が最も高くなった。ただ、学生の回答は「公共事業」が26・9%と最多で、「トリチウム処理水対策」は15・3%、「風評被害対策」は7・0%だった。

 処理水について政府が4月に決定した本県での海洋放出方針の賛否も尋ねた結果、「反対」が44・2%で「賛成」の40・4%を上回った。「分からない・無回答」は15・4%だった。

 年代別に見ると、「反対」と回答したのは、70歳以上が48・0%と最も高く、60代が45・9%、50代が44・5%で続き、いずれも「賛成」を上回った。一方、「賛成」は二十九歳以下が49・9%、30代が49・6%、40代が46・0%となり、賛否が逆転する結果となった。若い世代ほど海洋放出方針に理解を示している実態が浮かんだ。


■新型コロナ対策では「治療薬開発」が41.7%

 福島民報社が福島県内の有権者を対象に実施した電話世論調査では、次期政権に望む新型コロナウイルス対策についても聞いた。「治療薬の開発」が41・7%で最も多く、次いで「医療提供体制の充実」が18・2%となり、今後の感染再流行への備えを重視する声が多かった。

 「生活困窮者への支援」が11・6%、感染防止や現状の把握に向けた「わかりやすいメッセージの発信」が10・2%、「Go TO トラベルなど経済対策の充実」が6・8%となり、コロナ禍の影響からの回復や再拡大防止を望む有権者も多い結果となった。

 「自主検査費用の負担軽減」が3・4%、「自宅療養者への支援」が4・6%だった。

 年代別や職業別に見ると、29歳以下や学生が望む政策で最も多かったのが「生活困窮者への支援」だった。幅広い世代が収入減などの影響を受ける中、特に若年層が生活再建への対応を求めている現状が浮き彫りになった。