メクル第370号 日本海に面する長崎 身近な海の豆知識

2019/05/26 [13:59] 公開

 

 九州で最も西に位置する長崎県は大部分が海に囲まれ、島の数も多い海洋県です。海にも境界(きょうかい)があるって知っていますか? 周辺の海にかかわる豆知識(まめちしき)をまとめました。

◎線で結ぶと三角形
 壱岐(いき)や対馬(つしま)は、テレビの天気予報(よほう)や地図帳では海の部分が省略(しょうりゃく)され、線で区切られていることが多いですが、一体どんな位置関係なんでしょう。
 対馬がずっと北に位置していて、とても大きな島であることに驚(おどろ)いた人も多いのでは。長崎県の一番端(はし)っこにある対馬と島原半島、五島列島を線で結ぶと、細長い三角形になります。

◎海の境界
 第七管区(だいななかんく)海上保安(ほあん)本部海洋情報部(じょうほうぶ)「海の相談室」によると、国際(こくさい)水路機関が刊行(かんこう)するガイドライン「大洋と海の境界」には、航海安全のために使われる海の境界が書かれています。
 長崎県は日本海と東シナ海に面していて、その境界は地図中の野母崎(のもざき)((1))と福江島南端(ふくえじまなんたん)((2))を結んだ線、大瀬崎(おおせざき)((3))と韓国(かんこく)・済州島(チェジュド)を結ぶ線で南北に分かれ、北側が日本海、南側が東シナ海です。長崎県の大部分は日本海に面しているといえます。

◎湾と灘の違い
 地図をながめていると、海の部分に○○湾(わん)、○○海峡(かいきょう)、○○灘(なだ)、○○瀬戸(せと)など、いろんな呼(よ)び名があることに気づきます。その違(ちが)いについてまとめました。
 湾:陸地に囲まれた内海
 灘:海の流れが速く、波が高く海が荒(あ)れるため、航海がむずかしいとされるところ
 海峡:陸地に挟(はさ)まれた狭(せま)いところ。水道、瀬戸も同じ意味合い

◎迫力ある針尾瀬戸
 佐世保(させぼ)市と西海市をつなぐ西海橋と新西海橋の真下に見えるのが「針尾(はりお)瀬戸」。大村湾の出入り口となる狭い瀬戸です。
 潮(しお)の満ち引きの影響(えいきょう)で、大量の海水が一気に通過(つうか)するため流れが速く、「日本三大急潮(にほんさんだいきゅうちょう)」ともいわれます。ゴーっと音を響(ひび)かせて渦(うず)を巻(ま)く様子は、迫力(はくりょく)満点。たくさんの観光客が見物に訪(おとず)れます。

◆いろいろな日本一◆
 半島や島、細長く海に突(つ)き出した岬(みさき)が多く、ギザギザで複雑(ふくざつ)な形をしている長崎県は日本一がたくさん。県統計課(とうけいか)に教えてもらいました。

・海岸線が長い!
 海と陸地の境目(さかいめ)(海岸線)を1本の線にすると、その長さは計4178キロ!
 北海道(北方四島をのぞく)をおさえて全国1位です

・断(だん)トツの島数
 全国にある6852の島のうち、14.2%にあたる971が長崎県にあり、そのほとんどが無人島。2位鹿児島(かごしま)県の島数は605ですから、いかに島が多いかがわかります

・魚種が豊富(ほうふ)
 九州西方を北上する対馬海流という流れに乗って、さまざまな魚が長崎の海を通ります。そのため、取れる魚の種類がとても豊富。特にタイ類、アジ類、ブリ類、イサキ類は全国トップの漁獲量(ぎょかくりょう)です

・千人あたりの漁業就業(しゅうぎょう)者(しゃ)数
 漁業の仕事をする人の数は、人口千人あたり10.2人と、全国平均(へいきん)の1.4人を大きく上回って全国1位

迫力のある渦潮が見られる針尾瀬戸