カラスの基礎知識

 毎年春から夏にかけて、カラスに関する苦情、相談が多数寄せられます。被害を受けないためには、まずカラスの習性を知ることも大切です。敵を知れば百戦危うからずです。
ハシブトガラス
ハシボソガラス
 カラスの種類と特徴・捕獲ルール
種類ハシブトガラスハシボソガラス
特徴くちばしが太く、額が出っ張って見え「カアカア」と澄んだ声で鳴くくちばしが細く、額がなだらかに見え「ガアガア」と濁った声で鳴く
歩き方両足をそろえてピョンピョン飛ぶように歩くことが多い両足を交互に歩くことが多い
居場所樹木にいることが多い地上に下りる
捕獲するにはカラスのヒナの捕獲や卵を採取するには許可申請が必要です
巣の撤去カラスのヒナも卵もない空の巣の場合は許可なく撤去できます
寿命1年未満の幼鳥の死亡率は高いと言われていますが、成鳥になってからの寿命は、7年から8年と言われていますが、はっきりしたことは分かっていません
移動距離ねぐらから10kmくらい

カラスの被害と対策

春から初夏は子育ての時期

 普段はむやみに人をおそうことのないカラスも、繁殖期に当るこの時期は、卵やヒナを守るために、人が巣に不用意に近づくと、外敵とみなし威嚇や攻撃をしかけてくることがあります。威嚇は単独またはつがいで行い、集団で襲ってくることはありません。威嚇にも、巣に近づく距離により段階があります。

威嚇

第1段階:
 カラスの縄張りに入ったり、巣をみつめている人がいると、その人をじっと監視します。監視は縄張りの外に出るまで続きます。
第2段階:
 巣との距離が近くなると、鳴きながら周囲を飛び回り、とまっている電線や枝などをつつきます。明らかに人に向かって鳴くので、多くはこの段階で気づきます。
第3段階:
 さらに巣に近づくと「ガーッ、ガーッ、ガーッ」と大きな声で鳴き、小枝や葉を下に落としたりします。この段階になると、親鳥がかなり至近距離まで近づくので恐怖を感じます。
第4段階:
 それでも巣に近づくと、後から頭をかすめるように飛んだり、そのとき頭を足で蹴りつける攻撃をしてくることがあります。

注)走って逃げたり、石を投げたり、棒などを振り回すのは逆効果です。カラスは背後から頭部を攻撃するので、傘をさしたり、帽子をかぶるのは有効な自己防衛策です。

被害にあわないためには

  1. カラスの巣やヒナを見つけても不用意に近づかない。
  2. カラスの威嚇に気づいたらすぐにその場から離れる。

対策

 カラスであっても、単に「気味が悪い」「うるさい」などということだけで、むやみに駆除することはできません。親鳥が人間に威嚇攻撃をして、生活に影響を及ぼす場合、止むを得ず巣の撤去を行うこともありますが、巣を撤去しても親ガラスは駆除することが出来ませんので、巣がなくなったカラスは凶暴性を増すことがあります。ヒナが巣立つと守る対象がいなくなるので、親ガラスの威嚇は収まります。
 
  1. ごみステーションを清潔にする
    収集日当日の決められた時間にごみを出し、ネットを使っている場合は、カラスがネットをめくらないように固定し、ごみの飛散防止をすることで、餌が食べられなくなり、カラスが寄り付かなくなります。
     
  2. 餌を与えない
    餌を与えると、カラスが人を恐れなくなります。また、屋外で飼っているペットの餌を狙って集まるカラスもいます。
     
  3. ネット張り、糸張り
    家庭菜園等の小さな面積での被害対策にはネット張りが確実です。また、糸張りをする場合は、細くてあまり目立たない方が効果があるそうです。(魚釣り用ナイロンテグス)

共存してくために

 人間社会のカラスは、生態系の中で多くの生き物に対し捕食者としての役割を持っています。その結果、特定の生物が増えるのを抑制していると考えられています。(これはカラスに限ったことではありませんが)他に木の実をついばんで運び、種子を落とすことで種が拡散し、植物の繁栄に貢献しています。『気味が悪い』、『恐ろしい』というだけで嫌うのではなく、その習性を知り、有効な自己防衛対策をしながら、共存していくことが大切です。