天才ピアニストの公生は11才で母を亡くし、ピアノが弾けなくなっていた。14才の春、彼は幼なじみの椿を通じ、ヴァイオリニストのかをりと出会う。
ヴァイオリン部門のコンクールを見に行った公生たち。かをりは曲を自分のものにしており、その姿は美しかった。しかし演奏を終えた彼女は渡のもとへ。
渡の代役でかをりとカフェに行った公生は、店内のピアノを奏でるが途中で演奏を止めてしまう。そんな公生を、かをりは二次予選の伴奏者に任命する。
かをりに励まされ舞台に上がった公生だが、途中で音が聴こえなくなり演奏を止めてしまう。すると、かをりも演奏を中断し、「アゲイン」とつぶやく。
コンクールの演奏後、かをりは入院していた。椿や渡と見舞いに来た公生に、かをりは「ピアノは弾いてる?」「君は忘れられるの?」と問いかける。
録音した自分の演奏にショックを受ける公生。落ち込んでいる公生をよそに、かをりはコンクールに公生の応募書類を送ってしまったことを報告する。
課題曲を自分のものにできたか悩む公生は授業中に倒れ、保健室に運ばれてしまう。そしてコンクール当日。会場ではかつてのライバルが彼を待っていた。
公生の復帰を待っていた武士と絵見。優勝候補の武士の演奏は万雷の拍手で称えられ、公生不在のあいだ成績が不安定だった絵見も最高の演奏を披露する。
憧れの公生に熱演で想いを伝えた絵見。そしていよいよ公生のステージ。亡き母の幻影が彼に語り掛ける。過去と対峙する公生の音楽の旅が始まった。
最初は好調だった公生の演奏は中盤で乱れ始める。ざわめく観客。音が聴こえないという噂は本当なのか。皆が見守る中、公生はトラウマと対峙していた。
演奏が終わリ控室に戻った公生の前に、亡き母の友人で日本屈指のピアニスト・瀬戸紘子が現れる。紘子は公生がピアノに込めた想いを読み取っていた。
かをりとともにガラコンサートに選ばれた公生はピアノに向かう。かをりが選んだ「愛の悲しみ」は、公生にとっては母の匂いを感じてしまう曲だった。
ガラコンサート本番当日。出番の時間を迎えたが、かをりが現れない。公生はひとりでステージに立ち、母が好きだった「愛の悲しみ」の演奏を始める。
かをりが倒れたと聞き、病院に駆けつけた公生。元気そうに振舞うかをりだが体調は芳しくなかった。一方、椿は公生に対する想いから目を逸らしていた。
公生が家を出て音楽科のある高校へ進むと知り、戸惑いを隠せない椿。弟のような公生が、椿にとって大きな存在になっていることに周囲も気づいていた。
紘子に弟子入りした凪を教えることになった公生の前に、外出許可をもらったかをりが現れる。二人はショッピングしたり、夜の学校へ忍び込んだりする。
公生はかける言葉がないため、かをりの見舞いに行けずにいた。レッスン中も上の空の公生を凪が励ますと、公生は誰かのために弾くことは大切だと話す。
自分の演奏をかをりに届けるため、凪の学園祭のステージに上がる公生。演奏が始まると早いテンポで凪にプレッシャーをかけ、凪も負けじと喰らいつく。
公生と凪の連弾を聴き、もう1度公生と演奏するため手術を受けると決めたかをり。コンクールに向けて練習する公生を叱咤激励しつつ、リハビリに挑む。
いつも通りかをりの見舞いに行く公生だが、渡が先に訪ねていることに気づき遠慮する。椿は自分の気持ちに素直になれない公生をもどかしく感じていた。
かをりの容体が急変する場に居合わせた公生。音楽が大切な人を連れ去っていく。過去のトラウマが頭をよぎり、またピアノに向き合うのをやめてしまう。
自分が舞台に立っているのは支えてくれる人がいるからだと気付いた公生。皆がくれた音をかをりに届けるべく、公生はすべての思いを演奏に乗せる。