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読書は"最高のエンタメであり、学び" 高山一実さんインタビュー

2023年8月14日(月)

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元乃木坂46メンバーでタレントの高山一実さん。実は読書家として知られ、自ら小説を執筆・出版するほど、本が大好き♪もともと読書好きな人はもちろん、少しハードルを感じる人も、読書の魅力を新たに見つけてほしい…そんな思いから「NHKラーニング みんなの読書応援キャンペーン」のナビゲーターに就任した高山さん。おススメのタイトルから高山流の読書術、さらに人生を変えた本との出会いまで、とことん熱く語っていただきました!

≪高山一実≫

タレント。1994年生まれ、千葉県出身。2011年よりアイドルグループ「乃木坂46」のメンバーとして活動。読書家として知られ、2018年に自身初となる小説『トラペジウム』を出版。グループ卒業後はバラエティー番組のMCなど幅広く活躍、2023年NHK夜ドラ「超人間要塞ヒロシ戦記」でドラマ初主演を務めるなど多岐に渡って活動中。好きな作家は湊かなえ。

 

Q. とても忙しくされていると思うのですが、本は普段どんなときに読んでいますか?

ペースはまちまちですけど、ひと晩で1冊読みきる時もありますね。明日早くても徹夜しちゃいます(笑) あと、おもしろいと思った本をどこでも持ち歩いちゃうんですけど、お風呂の中で読みすぎて、お湯がぬるくなっちゃって追いだきを何回も…。ルーティンみたいなものは特になくて、読みたいときに読む。それができるのが読書の魅力だし、長続きする秘けつだなって思います。

 

Q. 本当に本がお好きなんですね…!昔から読書家だったのですか?

そんなことないんです。本好きな方って幼いころから家に本棚があって本に触れて…って方が多い気がしますが、私は中学校までは部活中心で全く(笑) 高校生の時に親友のお父さんからこれ面白いよって本をおススメされたのがきっかけです。それで初めて読んだ本が湊かなえさんの『告白』。もう誰もが知るベストセラー作品ですけど、すごく読みやすくて、面白くて、あっという間に時間が過ぎる!ってびっくりして…そこからみんなが部活に行っている時間に図書室に行くようになりました。

だから、いま苦手意識を持っている人にこそ、読書にふれてみてほしいなっていうふうに思います。漠然と本を読んでほしいっていうよりは、やっぱり“最高の1冊”を見つけてほしいですね。絶対あるから、この世に絶対!もし面白い本に出会えないって方はまだ出会えていないだけだと思うので。

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Q.そんな高山さんから見て「NHKラーニング みんなの読書応援キャンペーン」はいかがでしょうか?

03campaigntaitle.png人気番組「100分de名著」から20本をショート動画で一挙公開!アニメや朗読で名作のあらすじがつかめて、深掘り解説で作品の魅力や見方が分かりやすく学べる充実のラインナップとなっています。あなたにピッタリの名作がみつかるかも?アクセスはこちらから。

  

NHKラーニングさんのサイトがすばらしくて!原作の難易度はバラバラなのに動画の分かりやすさは一定で作られていて、それがすごくありがたいです。ハードルを下げてくれているというか…。そして不思議なのが、動画を見たあとに原作読みたくなるんですよ。動画の解説はあるけれど、私はこう思うっていう自分の考えを言いたいがゆえに原作読みたいなって(笑) 例えば移動中に耳だけで聞くのもいいですし、寝る前にゆっくり見るのもおススメですね。

そんな高山さんが特におススメしたい4作品をセレクト!何からトライすればいいか迷った方は、まずこの4本から始めてみましょう♪まずは世界中で愛されるあの小説から…

 ① サン=テグジュペリ 『星の王子さま』

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Q. この作品を選んだ理由を教えてください!

そうですね。幼い頃に読んだことがあったんですけど、久しぶりに読み返したいなって思って選びました。昔は主人公のチャーミングさには気付けていたんですが、ストーリーをなぞって終わっちゃっていて…大人になってからだともう少し細かい海外文学ならではの表現、たとえばキツネのシーンが私好きなんですけど、キツネが言った「飼いならされてないから」っていうフレーズか面白いな!って思いました。あと、サン=テグジュペリの人となりや人生を追うとより深みが出る作品だなと思って。そこもこの動画では解説されていて面白いなって思いました。

世界中でベストセラーなのが納得の、もうだれが読んでも味わい深い要素が含まれているすてきな作品なので…作品名は知っているけど触れずに来たって方もいらっしゃると思うんですが、小説にしてはサクサク、絵本よりはボリューミーっていうちょうどいいものだと思うので、ぜひ動画を見て、原作にもチャレンジしてみてほしいなって思います。

② コッローディ『ピノッキオの冒険』

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Q. この作品を選んだ理由をお願いします!

これは原作を読んだことがなくて、ディズニー作品でしか触れたことがなかったので、「原作ってこんな感じなんだ!?」ってびっくりしたので選ばせていただきました。

ちょっとネタバレしちゃうと、主人公が悪い男の子、反抗的な男の子なんですよ。私くらいの年齢だと「何でそんな反抗するんだよ」っていう目線で見ちゃう。けれど、子どもは共感できるっていう目線がすごく面白くて…やっぱり私も反抗期ありましたし(笑)そういう時期に触れると「気持ち分かる!」って応援したくなる気持ちもきっとあるんだろうなと。

Q  動画を見て『ピノッキオ』の印象は変わりましたか?
変わりましたね、それが原作に触れるメリットだと思っています。映像作品だと時間も限られるから描ける部分も限られちゃう。けど『ピノッキオの冒険』って原作は結構なページ数があって、いろんな面をもっている主人公がすごく人間らしいんですよ!まあピノッキオは人形ですけど(笑)、そこに原作ならではのよさがあるなって。ぜひこの動画で、原作のエッセンスを味わってほしいなって思います。

ここまで小説2本をおすすめしてもらいましたが、高山さんにとって小説ってどんな意味を持つのでしょうか?

“自分と周囲を再確認するもの”ですかね。もうびっくりするぐらい自分の水分が全部抜け落ちるくらい泣いたりするんですけど、何でじゃぁ涙が出るかっていうと絶対自分と自分の周りの人に重ねているんですよね。小説って1人の空間だから自分に素直に向き合える。結構な時間をかけてゆっくり自分と向き合える。そういうコンテンツって少ないんじゃないかなっていうふうに思います。

 

続いてのおススメは、哲学の名作から!

③ 三木清 『人生論ノート』

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Q. 率直に伺いますが、高山さんにも“マイナスの感情”ってありますか…?

大きいものから小さいものまでありますよ(笑)

幼い頃からアイドルが夢だったんですよね。でもアイドルには“寿命”があって…このせっかく手に入れた夢を手放さなきゃいけないっていう覚悟はついていたつもりだったんです。グループ(乃木坂46)を卒業して1年半経ちますけど、卒業直後は新しい人生というか楽しみもあって、でもそれからまたしばらく時間がたつとやっぱ戻れないあの日々が恋しいって感情になることも結構多いんですよね。あとは仕事がうまくいかないな、とか、日々小さなことでも感じています。

Q. なるほど…この作品には、そんな感情を乗り越えるヒントがある?

この作品では「虚栄心」について主に書かれていまして、人生に虚栄はつきものだけど、フィクションの世界ではそれがない。フィクションを作り出すことでそれをぬぐえるよねってことを言ってくださって、「まさに!」っていうふうに思いました。マイナスの気持ちを受け入れてくれる作品だったので、すごく救われた気がしましたね。

きっと同じような思いを抱えている人もいらっしゃると思うので、そんな人にそっとおススメしたいです。まずは動画を見てほしいなって思います。 

④ 渋沢栄一『論語と算盤』

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Q.おススメの理由を教えてください!

『論語と算盤』、学生時代からタイトルは知っていたけど読んだことはなくて…で、著者の渋沢栄一さんが新一万円札の肖像になるって聞いたときから「どういう方なんだろう?」って気になっていたんですよね。この動画をみて、”論語”とはこういうこと、”算盤”とはこういうことで、それを掛け合わせた渋沢さんはこういう方だよっていうのが分かって、次の一万円札の方にすごくぴったりな方だなっていうふうに思いました。

Q. どのあたりがぴったりだと感じましたか?
 簡単に言っちゃうと多様性を唱えた方というか、これまでの時代観を「果たしてこのままでいいのか」っていうふるいにかけてくださった方なのかなと。今でこそ多様性って言われていますけど、渋沢の生きた時代は多分それを唱えるには結構勇気も要ったでしょうし…

書かれている内容に全然時代感を感じないのがすごいですよね。自分も何かを作る立場だったら、流行も取り入れたいけどせっかくなら何百年先の人が見ても古びないものを生み出したいですし、通じるものもあるのかなって思いました。

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バラエティ豊かな4本のセレクト、ありがとうございます!

一口に“作品に触れる”っていってもいろんな形があると思うんですよね。例えば映画好きな方とか舞台好きな方とか、色々いらっしゃると思うんですけど、ひとつに絞る必要はないと思ってて…多ければ多いほど楽しみ方の幅が広がって、視野が広がる。それでこの世にあふれているおもしろいものに気付ける確率は上がるんじゃないかなって思います。
 だから小説が苦手とか、あんまり触れてなかったからっていうふうに自分の中でストッパーをつけちゃうよりも、間口を広げることが大事かなと思っています。

Q.最後に伺います。高山さんにとって、読書とは?

最高のエンタメとまなび、だと思います!サクサク読めて、あっという間に感じて、「楽しかったなぁ、触れられてよかったな」っていうエンターテインメントでもあるし、自分と違う点とか違う考え方に触れて「こういうものもあるんだ」っていう学びにもなる。読んでみるまでどっちの要素が多いかわからないのもまた楽しいですよね。

今の時代って、ただ消費していくコンテンツが多いですよね。短い時間でどれだけ触れられるかみたいな生活を送っている方はいると思うんですけど、一方でそういう生活に疲れてる方もいらっしゃると思っていて…そういう点では読書ってどっちの要素もあるんですよね。今の時代を取り入れつつ、自分とも向き合える、それが読書だと思っています。 

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ありがとうございます!

「NHKラーニング みんなの読書応援キャンペーン」

みなさんも自分にとっての最高の1作、探してみてくださいね!

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