第2次岸田第2次改造内閣 新閣僚が初登庁

第2次岸田第2次改造内閣が14日から本格的に始動。新閣僚が初登庁し、記者会見などが行われました。

上川外相 外交デビューとなる国連総会などに意欲

新旧外務大臣の交代式が行われ、新しく就任した上川外務大臣は「女性ならではの視点を外交政策に生かし、強力なチームワークで着実に成果を上げたい」と、意気込みを語りました。

交代式は、14日午前、外務省の講堂で行われ、300人あまりの職員が集まりました。

この中で林 前大臣は「ロシアのウクライナ侵攻など今までにないことが起きる中、みなさんの力を借りて、この歴史の転換点で『日本丸』が迷わないようにしっかりとやってきたつもりだ」とあいさつしました。

続いて上川外務大臣が「およそ20年ぶりの女性の外務大臣と聞いており、女性ならではの視点を外交政策に生かせというメッセージが込められているのではないかと思っている」と述べました。

その上で「林 前大臣が築いた外交をさらに前に進め、職員と一体となって強力なチームワークで、わが国が直面する喫緊の重要課題に積極的にスピード感を持って取り組み、着実に成果をあげていきたい」と意気込みを語りました。

このあと上川外務大臣は就任後初めての記者会見を開き、外交デビューとなる、来週のニューヨークでの国連総会などで、各国の外相らと信頼関係を構築することに意欲を示しました。

上川外務大臣は記者会見でまず、自身の外交方針として日米同盟を安全保障の根幹として国益を守ること、科学技術や感染症対策などソフトパワーを生かして日本の存在感を高めること、国民の声に耳を傾けて外交を進めることの3つをあげました。

その上で外交デビューとなる、来週、ニューヨークで開かれる国連総会や、それにあわせたG7外相会合について「しっかりと準備して、国連という大舞台で日本の存在感を示すとともに、世界各国のカウンターパートとの信頼関係を構築していきたい」と意欲を示しました。

また上川大臣は日中関係について「日本として主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて対話を重ね、共通の課題については協力する。建設的かつ安定的な関係の構築を双方の努力で進めていくことが重要だ」と述べました。

このほか女性の外務大臣は、小泉内閣の川口順子氏以来19年ぶりとなることについて「女性ならではの視点を、組織のあり方や働き方改革にも生かしていきたい。職員一丸となって外交に取り組む環境を整えたい」と抱負を語りました。

関係者によりますと、上川外務大臣はこのあと日本時間の14日夜、アメリカのブリンケン国務長官と初めての電話会談を行う予定で、日米同盟を基軸に緊密に連携していくことを確認することにしています。

自見地方創生相「現場に足を運び地方創生に取り組む」

初入閣した自見地方創生担当大臣は、14日午前9時半前に内閣府に登庁し、玄関に集まったおよそ30人の職員らに拍手で迎えられました。

自見大臣は笑顔で礼をしながら職員らに案内されて大臣室に向かいました。

午後には就任後初めての記者会見を行い、自ら現場に足を運び、地元の課題を聞き取りながら地方創生に取り組む考えを示しました。

この中で自見大臣は「小児科の医師として、少子高齢化など非常に重要な地域の課題と子育て政策がリンクしている現状も体験してきた。私としては現場にしっかり足を運び、課題を聞いて、本当に心をひとつにして地方創生を行えるように頑張りたい」と述べました。

また、再来年の大阪・関西万博も担当することについて「開催まで600日を切り、準備を加速させる必要がある。海外パビリオンの建設をはじめさまざまな課題もあり、私自身が先頭に立って、何としてでも万博をしっかりと成功させたいという気持ちで、危機感を持って対応にあたりたい」と強調しました。

このあと、大臣室で岡田前大臣から業務の引き継ぎを受け、自見大臣は「本当に責任を重たく感じております」と応じ、握手を交わしました。

これに対し岡田前大臣は「参議院議員同士で気心も知れているので安心して引き継げます」と述べ、それぞれが引き継ぎ書に署名しました。

加藤こども政策相「当事者の悩みに寄り添い子育て支援を」

当選3回で初入閣した加藤こども政策担当大臣は、午前10時半ごろ、内閣府に初登庁しました。

玄関では、集まった40人ほどの職員たちに拍手で出迎えられ、加藤大臣は緊張した面持ちで職員に向かって会釈し、庁舎内に入っていきました。

昼前には、就任にあたって記者会見し、自身も子どもを育てていることを踏まえ、子どもや子育て世代が抱える悩みに寄り添って支援の具体化に取り組む考えを示しました。

この中で加藤大臣は、自身も子どもを育てていることを踏まえ「子どもや子育ての当事者は十人十色のさまざまな悩みを抱えている。当事者の視点で想像力を働かせながら、聞く耳を持って施策に取り組んでいく」と述べました。

そして、午後には小倉前大臣から業務の引き継ぎを受けました。

この中で、加藤大臣が「緊張感を持ってしっかり国民のために頑張りたい」と抱負を述べたのに対し、小倉前大臣は「大臣の期間は、振り返るとあっという間だった。熱意のある優秀な職員ばかりなので、一緒になって豪快にかじ取りをしてほしい」と激励し、それぞれ引き継ぎ書に署名しました。

伊藤環境相 処理水への対応「風評払拭に貢献したい」

初入閣した伊藤環境大臣は東京 霞が関の環境省に初めて登庁し、就任の会見を開きました。

伊藤大臣は「気候変動問題にはGXを推進し、地域と暮らしの分野で取り組みを加速する。特に『デコ活』を通じた国民、消費者の行動変容、ライフスタイルの変革を強力に後押ししたい」と述べたほか、東日本大震災からの復興に関する取り組みとして、東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水への対応については、「処理水のモニタリングを、客観性、透明性、信頼性を持って推進し、風評払拭(ふっしょく)に貢献したい」と話しました。

また、開始の時期が決まっていない、除染で出た土の再生利用に向け、県外で計画している実証事業については、「地域住民の理解が大変重要だ。説明会で示されたさまざまな懸念に答える形で、今後も丁寧に説明をしていきたい」としたほか、一部の物質で有害性が指摘され、各地で検出が相次いでいる有機フッ素化合物のPFASの対応について、「PFASの問題は非常に重要だと思っている。環境モニタリングの強化、科学的知見の充実など、安全安心の取り組みをさらに進めたい」と話していました。

一方、旧統一教会に関して、5年前に都内で行われた関係団体の会合に会費を支払ったことを、自民党の調査で報告したと説明し、「旧統一教会とは、今後も一切関係を持たないことを徹底したい」と述べました。

宮下農相 水産業支援に全力で取り組む姿勢強調

初入閣した宮下農林水産大臣は、14日の就任会見で、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止していることに関連し、「水産業などが安心して継続できるように対策の実施に全力を尽くす覚悟だ」と述べ、水産業への支援に全力で取り組む姿勢を強調しました。

宮下農林水産大臣は、午前9時前に農林水産省に初めて登庁し、就任にあたっての記者会見を開きました。

この中で宮下大臣は「農林水産省の最も重要な使命は食料の安定供給だ。食品の原材料や生産資材などの価格高騰は、その多くを輸入するわが国にとってのリスクで、一人ひとりに食料を着実に届けることができるよう、政策を再構築していく」と意気込みを述べました。

さらに、福島第一原発にたまる処理水の海への放出を受けて、中国が日本産の水産物の輸入を全面的に停止していることに関連し、宮下大臣は、「水産業を守る政策パッケージを実行しているところだが、科学的根拠に基づかない輸入規制に負けずに水産業などが安心して継続できるように、農林漁業者に寄り添いながら対策の実施に全力を尽くす覚悟だ」と述べ、水産業への支援に全力で取り組む姿勢を強調しました。

午後には農林水産省で野村前大臣から業務の引き継ぎを受け、食料安全保障の強化に向けて、法整備に取り組んでいく考えを示しました。

野村前大臣が「宮下大臣とは自民党内でもずっと一緒に仕事をしてきたので、非常に安心している」と述べたのに対し、宮下大臣は、「野村前大臣の400日間の勤務に心から敬意を表したい」と応じました。

また、宮下大臣は、食料安全保障の強化に向けて、「農政の憲法」とも呼ばれる「食料・農業・農村基本法」の改正が検討されていることを踏まえ、「野村前大臣のおかげで基本法の骨格ができあがったので、これからしっかり形にしていきたい」と述べ、法律の改正案を来年の通常国会に提出できるよう取り組んでいく考えを示しました。

武見厚労相「安心してマイナ保険証を利用できる環境を」

初入閣した武見厚生労働大臣は午前11時ごろ、厚生労働省に初めて登庁し、集まったおよそ20人の職員に拍手で出迎えられました。

その後、武見大臣は記者会見室を訪れ「新型コロナなど感染症対策の強化、安全・安心なマイナ保険証を含む医療DX、医療や介護、福祉の向上に確実に取り組んでいきたい」などと抱負を語りました。

就任後初めての記者会見では、来年秋に今の健康保険証を廃止する方針をめぐり、課題を丁寧に解決して国民が安心してマイナ保険証を利用できる環境を実現したいという考えを示しました。

この中で武見厚生労働大臣は、「岸田総理大臣も繰り返し、国民の不安払拭のための措置が完了することが大前提と発言している。課題を一つ一つ解決し、国民が安心してマイナ保険証を利用できる環境を一刻も早く実現していく」と述べました。

一方、武見大臣は、過去に日本医師連盟の全面的な支援を受けて参議院選挙の比例代表に立候補したことに関連して、「私は医療関係団体の代弁者ではない。国民の立場に立ってどのように政策を実現すべきかという考え方を一貫して持っている」と説明しました。

その上で「その考え方で、来年度の診療報酬の改定などの課題に取り組んでいきたい」と述べました。

武見大臣は平成18年から厚生労働副大臣を務めていた際、メタボリックシンドロームの予防を国民にアピールしようと、体重を半年でおよそ8キロ減らしたものの、退任後にそれ以上増えたことを明らかにした上で、「大臣として改めて努力していきたい」と決意を述べました。

土屋復興相 処理水放出「国内外への正確な情報発信に全力」

初入閣した土屋復興大臣は、14日午前、復興庁に初めて登庁したあと記者会見し、福島第一原発の処理水の海洋放出について、風評被害を防いでいくため、国内外への正確な情報発信に全力を挙げる考えを示しました。

復興庁に初登庁した土屋大臣は、大臣室で渡辺前大臣から業務の引き継ぎを受けました。

この中で渡辺前大臣が「原子力災害の被災地域の復興はまさに道なかばで、しっかりと成し遂げていくことが責務だ。処理水の風評をいかに払拭するかにある」と述べました。

これに対し、土屋大臣は「おっしゃるとおりだ」と応じ、両氏はそれぞれ引き継ぎ書に署名しました。

この際土屋大臣は、持参した筆ペンを取り出して署名していました。

このあと土屋大臣は記者会見し「処理水の処分が完了するまで、全省庁が正確な情報を国内外にわかりやすく発信していくことが大事だ」と強調しました。

土屋大臣は、午後には福島県を訪問し、県庁で内堀知事とおよそ20分間面会しました。

この中で、土屋大臣は「浪江町などの『特定復興再生拠点区域』で避難指示が解除されるなど復興が進展する一方で、まだ2万7000人が避難生活を送っている。心のケアの問題に加え、高齢化なども進む中、どのように寄り添えばいいのか自治体から意見をもらい、応えていきたい」と述べました。

また、東京電力福島第一原発の処理水の海洋放出について風評被害を防ぐため、国内外での理解が進むよう正確な情報発信に努める考えを示しました。

その上で、土屋大臣は「将来的に帰還困難区域すべてで避難指示を解除するため、現場主義を貫いて声を聞き、一歩でも復興が進むよう頑張りたい」と述べ、国が前面に立って取り組みを進める考えを伝えました。

これに対し内堀知事は「住民にとって当たり前の生活が12年たってもかえってきていない。きめ細かな施策を前に進めてほしい」と求めました。

鈴木総務相「マイナカード総点検は自治体の声を聞き対応」

初入閣した鈴木総務大臣は、14日午前11時半ごろ、多くの職員から拍手で迎えられて初登庁し、さっそく松本 前大臣から引き継ぎを受けました。

このあと鈴木大臣は、新旧大臣の交代式に出席し、およそ70人の幹部職員らを前にあいさつしました。

この中で鈴木大臣は「基礎自治体の議員を経験しているので、国民目線で行政を見ていきたい。人口が減少する中、さまざまな分野で国民の暮らしを支えていく総務行政に、誇りを持って取り組んでいきたい」と述べました。

この後、鈴木総務大臣は就任にあたって記者会見し、マイナンバーカードのトラブルを受けた総点検について、自治体での作業が円滑に進むよう要望を踏まえた支援を検討する考えを示しました。

この中で鈴木総務大臣は、マイナンバーカードのトラブルを受けた総点検について「自治体の声をしっかり聞いて、関係省庁と連携し点検作業が円滑に進められるように取り組みたい」と述べ、自治体の要望を踏まえた支援を検討する考えを示しました。

また記者団から旧統一教会との関わりを問われたのに対し「私が出席しない代わりに、やむをえず電報を送ったことはあった。自民党の調査に詳細に回答したとおりであり、その後、当該団体との関係は一切たっている」と述べました。

一方、今回の人事で所属している安倍派から後押しがあったか聞かれると「派閥として、大きな観点から応援してもらったことは事実だ。ありがたいことだと思っている」と述べました。

盛山文科相「旧統一教会への解散命令請求 最終判断を検討」

盛山文部科学大臣は、就任にあたっての記者会見で、「文部科学省が担当する教育や科学技術など、それぞれの分野の課題と向き合い、これから勉強しながら文部科学行政に携わっていきたい。落選中に大学で教えたり、あるいは大学院で学んだりした経験があるので、そういう経験をいかしながら文部科学行政に少しでも貢献できればいい」と抱負を述べました。

旧統一教会をめぐる問題で、自民党の調査に対し、教団の関連団体の会合に出席してあいさつしたと回答したことについて、「現在、当該団体との関係はまったくない。関係を持たないということを今後とも徹底していきたい」と述べました。

また、教団への解散命令請求について、「具体的な証拠などを伴う、法人の客観的な事実を明らかにするため、丁寧な対応を着実に進めているところだ。法律に基づいて最終的な判断を検討していく」と述べました。

一方、みずからの出身校でもある私立中学校に対し、教科書の採用をめぐって政治的圧力をかけたのではないかと一部で報道されたことについて「大変不本意な記事だ。圧力をかけるとか、そういうことを意図したつもりは一切ない」と述べました。

木原防衛相「自衛隊員の処遇改善に全力で取り組む」

初入閣した木原防衛大臣は14日午後、防衛省・自衛隊の幹部に対して訓示を行い、「防衛力強化の迅速化には、必要な装備品を速やかに取得するだけでなく、部隊に届いたらすぐ運用できるようにする必要がある。特に『スタンド・オフ・ミサイル』やイージスシステム搭載艦など、新たに取得する装備品を速やかに運用できるよう、必要な準備を、しっかりと進めてほしい」と述べました。

また「自衛隊員の処遇改善に全力で取り組んでいく。日本の国防を担いたいと純粋に思っている全国の若者が、防衛省・自衛隊で働くことを選択してもらえるように、現場に足を運び、隊員の要望を真摯に受け止め、改革していくことを約束する」と述べました。

このあと新旧大臣による引き継ぎ式が行われ、浜田・前大臣が「木原大臣の指導で、安全保障関連の課題を前に進めてほしい」と述べたのに対し、木原大臣は「浜田・前大臣のバトンをしっかりと受け継いで、安全保障関連3文書の実現に向けて頑張っていきます」と応じていました。

松村国家公安委員長「選挙での警護に万全を期す」

松村祥史国家公安委員長は、初めての入閣で、防災担当大臣も兼務しています。

14日に警察庁で開かれた就任会見で、松村氏は、「治安課題が多様化し、対策を講ずべき課題は山積しているが、国民が安全安心を実感できるよう、全力を尽くしたい」と抱負を述べました。

また、選挙期間中に安倍元総理大臣が銃撃された事件や、岸田総理大臣が襲撃された事件に触れて、「選挙は民主主義の根幹で、安全に実施されることは極めて重要だ。選挙での警護に万全を期すよう警察を指導して参りたい」と述べました。

そしてこのあと、防災担当大臣として内閣府に初登庁し、およそ100人の職員に拍手で迎えられたあと、谷前大臣から引き継ぎを受けました。

引き継ぎでは、2人の地元で発生した熊本地震と阪神・淡路大震災が話題にのぼり、松村大臣は「熊本地震から7年、防災意識が高い県になった。インフラも整備されてきている」と述べました。

一方、谷前大臣が「おかしな心理で、あれだけの地震は自分の生きているときには、もう来ないだろうと思ってしまうところもある」と災害の記憶は放っておくと風化しがちだという認識を示したのに対し、松村大臣は「いかに啓発が必要か改めて思う」と応じ、防災意識の向上を図る啓発活動にも力を入れる考えを示しました。

小泉法相「公平公正な社会の実現へ力を尽くす」

初入閣した小泉法務大臣は、14日午後、法務省で齋藤前大臣から業務の引き継ぎを受けました。

このあと小泉大臣は、およそ100人の職員を前に訓示し、「社会が複雑化する中で、公平・公正な社会の実現が求められている。非常に重たい大命題を正面から担っていくのは法務省の使命だ」と述べました。

その上で「私が先頭にたつが1人ではできることに限界がある。ぜひみなさんの能力をもっと出して欲しい。ともに励まし合いながら目標に向かって力を尽くしていきたい」と呼びかけました。

新藤経済再生担当相 物価高など受け「思い切った経済対策を」

新藤経済再生担当大臣は午前9時ごろ内閣府に初登庁し、就任後初めての記者会見に臨みました。

この中で新藤大臣は、物価高などを受けた新たな経済対策について、「国民生活を守り、賃上げと投資の拡大の流れをより力強いものにするため、思い切った内容の経済対策を検討していきたい」と述べ、10月中をメドとしている、とりまとめに全力を挙げる考えを示しました。

また午後には、大臣室で後藤前大臣から引き継ぎを受け、後藤前大臣が「党に戻ってお力添えしたい」と述べたのに対し、新藤大臣は「連携させてほしい」と応じ、引き継ぎ書に署名していました。