ソフトバンク4年ぶりV奪回なるか-。雪辱を懸ける2024年が始まった。西武から国内フリーエージェント(FA)権を行使した山川穂高内野手(32)を獲得し、巨人からトレードでアダム・ウォーカー外野手(32)が加入。課題だった「右の大砲」2人を補強した。先発陣の立て直しに向けても、昨秋ドラフトで大卒、社会人の即戦力4投手が入団した。日刊スポーツ評論家の浜名千広氏(54)が「打線編」「投手編」の2回に分け、今季のホークスを分析した。

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ホークス打線の話をする前に、新年早々だが少しばかり厳しいことを言わせてもらいたい。昨年暮れに西武からFA移籍した山川についてだ。不祥事があって入団してきた。まずは彼のプロ野球選手としての技術の前に一社会人としての所作であったり、身なり、立ち居振る舞い、あいさつやマスコミ、ファンへの対応…。ファンの人たちはその点をしっかり観察していると思う。個人的な意見を言わせてもらえば、実戦復帰した昨秋のみやざきフェニックス・リーグで全力疾走をしていなかったり、ガムをかみながらのプレー…。ホークス入団会見の姿を見ても、まだまだ自覚が足りないのではないか、と感じた。山川自身も相当な覚悟を持ってホークスのユニホームに袖を通したと思う。現状では小久保監督が掲げる「美しさ」からはほど遠いと言っていい。しっかりと自分を見つめ直してグラウンドに立ってもらいたい。

クリーンアップは分厚さを増したことは間違いない。近藤、柳田、山川。さらにウォーカーも入った。昨年チームは3位に終わったが、チーム総得点はリーグトップ。得点力は増すはずだ。重量クリーンアップをさらに機能的にするのが「1番」の存在だ。リードオフマン候補筆頭の周東を固定できれば驚異的な打線編成となる。守備も中堅一本で勝負するようだが、牧原大、三森が攻守で高レベルの二塁定位置争いをしてくれれば、必然的に「つなぎ役」のレベル向上にもつながる。故障離脱した栗原も三塁死守で雪辱を誓っているだろうから、2024年型のホークス打線は「機動性&パンチ力」がこれまで以上の高水準の編成になるのではないだろうか。

ただ、大きな期待とともに不安要素もある。周東、牧原大、三森らが故障であったり、不調で中堅、二塁がなかなか固定できなかったりする場合だ。扇の要であるキャッチャー甲斐、ショート今宮を含めた「センターライン」に不安を抱えることになれば、シーズンを通して安定した戦いが難しくなる。打線強化には「右の大砲」も必要戦力なのだが、V奪回へ向けたホークス打線の最大の課題は「1番打者」の固定。周東がしっかりそのピースにはまってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)

周東佑京(2023年9月撮影)
周東佑京(2023年9月撮影)