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企業不祥事の原因、共同体的一体感が影響

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大手メーカーによる製品データ改ざんなど、企業不祥事が後を絶たない。これら不祥事の全体的な傾向や問題の背景には何があるのか。企業法務を研究するGBL研究所の理事で、最近の上場企業の不祥事120件を分析した渡辺樹一氏に聞いた。

品質・性能偽装や顧客情報の流出など、企業が重大な不利益をもたらす業務上の事件や事故を起こした場合、事実の調査や原因の分析などが必要になる。一般的には、まずは企業内で内部調査委員会を立ち上げることが多く、より踏み込んだ対応が必要とされる場合に、外部の弁護士などの有識者で構成する第三者委員会などが設置される。

――2014年1月~17年6月に上場企業によって公開された調査報告書120件を分析した結果、どのような不祥事が目立ちましたか。

「120件中、28件は意図的ではない不祥事で、インサイダー情報の社外への流出やミスによる過年度決算の修正といった事例が多かった。一方、残る92件は意図的な『不正』だ。そのうち最多の43件が『不正会計』、32件が『会社資産の不正流用』、品質偽装などの『その他意図的なコンプライアンス違反』が15件だった。上場している市場の種類と不祥事の関係については、ジャスダックと東証マザーズでは経営陣による利益相反などを含む資産の不正流用が多く、東証1・2部では不正会計が多かった。不祥事件数を上場会社数で割った発生率はいずれも3%程度で同等といえる」

――潜在的な原因別でも分類されていますが、どのような傾向が見られましたか。

「経営者、従業員のいずれによる不正かという点、及び、それぞれについて『保身・出世や"会社のため"』『個人的な利得目的』という点で切り分けてみた。個人的な利得目当ての場合は個人の資質によるところが大きいので、特に注目したのは前者のケースだ。親会社経営者による不正の場合、上場廃止の回避など会社を存続させるため、保身や地位の維持をコンプライアンスよりも優先する姿勢がみられた。子会社経営者や従業員によるものには、自負心や評価を得るためのほか、保身や不利益の回避のために数値目標を達成しようとする不正が多かった。これらの不祥事の潜在的な原因として、日本企業特有の『共同体的一体感』があると指摘したい」

――共同体的一体感とは何ですか。

「日本企業では長期雇用を前提にした新卒一括採用に基づき、社員の感情的な一体感を求める組織運営がされている。その中で徐々に昇進を重ねて出世した役員は共同体の中で『選び抜かれた人』であるという感覚がある。この感覚にはいい側面もあるが、コンプライアンスのリスクを高める側面も強いと感じる。まず経営陣の場合、長く「従業員」として出世してきたため、会社との委任契約により会社法などで規律付けられる立場になったという意識を持ちにくく、それがプライドの乱用や誤用を招き、コンプライアンスやガバナンスの軽視など誤った方向に向かう場合がある」

 「従業員不正の場合は3つのパターンにつながる。1つ目は、断ればどうなるかわからないために経営者の不正に服従する場合。2つ目は、売上高や生産効率などの目標達成に向けて経営者から強いプレッシャーがかかったとき、『経営者がこうしてほしいと思っているに違いない』『会社のためだ』と思い込む忖度(そんたく)による不正だ。3つ目は出世競争の中で自己の業績アピールや保身のために行う独善的な個人不正があるといえる」

――具体的な対応策はありますか。

「不正が生まれる直接的な原因には『目標達成への強いプレッシャー』と『組織風土』がある。トップの意向に沿うためや、上層部からの理不尽とも思われる指示に、閉鎖的な組織の中で『無理だ』と言えずに不正をしてしまうという構図だ。目標達成については、技術や能力、数値的な裏付けのある目標を事業部門に示し、合理的なプレッシャーを与えたうえで、目標管理をしっかりと行うべきだ」

「コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、会社の価値観を示し、会社の構成員が従うべき規範として『行動準則』を定めて順守させるよう求めており、この行動準則が実践されているかを取締役会が定期的にレビューすべきだとしている。これに沿い、単なるコンプライアンスのアンケートにとどまらない、組織風土の現状を測定する従業員サーベイ(調査)を実施するのが具体策となる」

「測定するのは(1)行動準則の認識・理解度や順守状況(2)品質よりも納期を優先するなど社内ルールに矛盾するような事態が発生していないか(3)各所管部署の業務(営業、購買、生産など)について不合理と思われる社内ルールはないか(4)内部通報制度は活用できるか(5)社内の風通しの良さの度合い――などだ。無記名方式で声なき声を吸い上げ、結果を取締役会に報告し、対応を審議する。組織の風通しを良くし、価値観を共有する手段となるだろう」

――有名企業による不祥事が多数発覚しています。

「最近の一連の品質・性能偽装の不祥事には、経営と現場との乖離(かいり)がみられる。経営者が『不祥事を起こすな』と掛け声だけかけ、内部統制の対策検討や意思決定は現場の管理職などに丸投げしている状況がうかがえる」

「内部統制やリスク管理の体制を整えるのは取締役会の責務だ。詳細な制度づくりや運用は担当部署に任せるにしても、取締役会への報告事項を改めて整備する必要などがあるだろう。リスクが発生した場合は取締役会にその情報が速やかに上がってくるようにし、取締役会として経営陣に対して必要な措置を促すような体制が必要だ。経営判断を間違わないためには、経営者による現場の事実・実態の把握が不可欠だ」

(聞き手は法務報道部、児玉小百合)

[日経産業新聞 12月22日付]

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