7月実質賃金2.5%減 16カ月連続マイナス、下落率拡大
厚生労働省が8日発表した7月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)によると、1人当たりの賃金は物価を考慮した実質で前年同月比2.5%減った。マイナスは16カ月連続。物価高の勢いに賃金の伸びが追いつかず、減少幅は6月の1.6%から拡大した。
名目賃金に相当する1人当たりの現金給与総額は、前年同月比1.3%増の38万656円だった。このうちボーナスなど特別に支払われた給与は10万8536円で0.6%増えた。
ここ数カ月はボーナスが伸び、特別給与の増加率は5月が35.9%、6月は3.5%だった。増加傾向が弱まったことが7月の実質賃金を押し下げた。
現金給与総額を就業形態別にみると、正社員ら一般労働者は50万8283円、パートタイム労働者は10万7704円でいずれも1.7%伸びた。残業などによる所定外給与は一般労働者が1.1%増の2万6640円だったが、パート労働者は1.2%減の2830円と差が広がった。
名目賃金のうち基本給に当たる所定内給与は1.6%増で、5月以降1%台の増加が続く。厚労省は「春季労使交渉による賃上げ効果を反映している」とみる。
1人当たりの労働時間は0.8%減の138.9時間だった。残業時間も減少した。
名目賃金は22年1月以降、一貫して増加を続けているものの、それでも物価上昇分を補えていない。企業がさらに踏み込んだ賃上げを実現できるかが焦点となる。
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