細田議長が辞任表明、議員は継続 セクハラ疑惑を否定
次期衆院選への出馬に含み 野党は批判
細田博之衆院議長は13日、議長公邸で記者会見し、体調不良を理由に議長を辞任すると表明した。7月に脳梗塞の症状が出て治療していたと説明した。自民党は後任に額賀福志郎元財務相を推す調整に入った。細田氏は議員活動を継続し、次期衆院選への出馬に含みを持たせた。野党は細田氏の対応を批判している。
細田氏は議員活動に関して「私以外の人が簡単にできる仕事ではない。一国会議員として国政に携わりたい」と語った。次期衆院選への出馬を問われ「議員活動はできる。頑張りたい」と言明した。
細田氏をめぐっては世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との接点が明らかになっており、野党から説明を求める声が高まっていた。細田氏は現在の関係に関し「問題はない」と強調し、議長辞任とは無関係だと主張した。
細田氏はこれまで複数回、教団関連の会合に出席したと認めている。その会合の挨拶で「会議の内容を(当時の)安倍晋三首相に早速報告したい」と発言したこともあった。
細田氏は官房長官や自民党幹事長など要職を歴任し、2021年に衆院議長に就いた。現在の安倍派にあたる最大派閥の清和政策研究会の会長も務めていた。同派は旧統一教会との関係が深かったとされる。
一部週刊誌で指摘された女性記者へのセクハラ疑惑は「どうして私がセクハラ議長と言われなければならないのか心当たりはない。単なる噂話だ」と否定した。「これまで誰一人具体的にセクハラがあったという方はいない。(次々に被害者が申し出る)『MeToo』がない」と被害申告がないと訴えた。
「男にとっても『セクハラをした』といわれるのは大変な問題だ」とも主張した。会見はすべての質問に答えず50分ほどで打ち切った。
任期中に衆院議長が辞任するのは2015年に体調不良で辞めた町村信孝氏以来となる。後任は最大勢力の自民党の中から決まる。
野党は13日、細田氏の姿勢を改めて批判した。立憲民主党の泉健太代表は記者会見で「旧統一教会と不適切な関係に至った相手からのアプローチの情報開示をしてもらわなければいけない。真相を明らかにする必要がある」と指摘した。
立民の安住淳国会対策委員長は国会内で記者団に「細田氏からまったく納得いく回答はなかった。三権の長として恥ずかしい姿勢だ」と断じた。所信表明演説などの国会日程を現時点では決められないと話した。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長は記者会見で「体調が悪いから議長の職が務まらないのに、議員としては元気いっぱいというのは理屈が通らない。説明責任がある」と述べた。