24年度予算成立、過去2番目112兆円 社保・国債費最大
政府の2024年度予算は28日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立した。一般会計112兆5717億円のうち、歳出は抑制が難しい社会保障費と国債の元利払い費だけでおよそ6割を占め硬直化が進む。歳入の不足を新規国債で補う構図も続く。
予算の総額は23年度当初予算の114兆3812億円から1.8兆円ほど減るものの過去2番目の規模で、2年連続で110兆円台となる。
医療・介護・年金にかかる社会保障費は37兆7193億円で過去最大となった。病院や介護事業所が医療や介護の対価として受け取る報酬のうち、現場の人件費に回る部分を増額し、賃上げにつなげる。診療報酬はプラス0.88%、介護報酬はプラス1.59%の改定率とした。
国債の償還や利払いにあてる国債費も27兆90億円で最大となる。利払い費の想定金利は23年度の1.1%から1.9%へ引き上げた。社会保障費と国債費を足すと歳出の57%にのぼる。成長投資に予算を振り向ける余地が狭くなっている。
物価高や賃上げといった政策課題に機動的に対応するための予備費として1兆円を計上した。新型コロナウイルス感染症や物価対策などの予備費として5兆円を用意していた23年度当初予算から4兆円減らした。
一方、一般の予備費は5000億円から1兆円に増やした。1月の能登半島地震の被災地の復興に活用するためだ。物価・賃上げ促進予備費や、一般予備費の増額はコロナ前にはなかった対応で、歳出構造が平時に戻ったとはなお言い切れない。
歳入面では税収は69兆6080億円で23年度当初予算とほぼ同額を見込む。6月に実施する所得税減税は税収を減らす効果があるため横ばいにとどまる。新規国債35兆4490億円を発行して歳入の不足を穴埋めする。
自民党は参院本会議に先立つ28日午前の参院予算委員会理事懇談会で、自民党の派閥の政治資金問題を受けた安倍派幹部への追加聴取の理由を説明した。森喜朗元首相も聴取対象に含まれうるとの認識を示した。
野党は説明内容が不十分だと反発し、野党間で対応を協議した。自民側に改めて詳細な説明を求めることなどを決めた。この結果、予算案採決の前提となる締めくくり総括質疑の開始は2時間ほど遅れた。
岸田文雄首相は28日の参院予算委で聴取対象者を調整中だと説明した。「森氏も関係者の一人で政治責任を明らかにするために必要な方ということで含まれうる」と発言した。
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