[新型コロナ 沖縄の今]
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、生活保護の相談・申請件数が増加した那覇市の相談を業種別で見ると、飲食関係が31%で最多。次いでホテルや土産店従業員といった観光関係が16%だった。仕事を探したが見つからない無職(15%)やタクシー・運転代行などの運送業(12%)も多く、新型コロナに伴う外出自粛や休業要請で収入減につながった業種に影を落としている。(社会部・勝浦大輔)
相談内容は、「自粛で客足が減り、店に解雇された」(飲食店従業員)や「飲食店を続けられない」(経営者)といった声のほか、「出勤日数を減らされて収入が減った」「仕事が見つからない」などの悩みが寄せられた。県外にいる子どもからの仕送りで生活していた親が「子どもが解雇され、仕送りがなくなった」との相談もあった。
司法書士の安里長従さんは、新型コロナに伴う相談・申請増が那覇市で顕著なことについて「都市部は非正規の従業員が多く、不況の影響をもろに受ける人が多い。生活保護の相談・申請者に飲食、観光、タクシー関係者が多いのはそのため」とみる。
県内他市での相談、申請数がそれほど増えていないことに関し「全国でも似た傾向がある」と話す。5月末に九州・沖縄各県で生活保護に関する1日限りの電話相談を受けた際、沖縄、熊本、長崎の相談はゼロ。ほかも一桁だったという。「雇い止め、失業者が出てはいるが、保護を求めるまでに至らず、貸し付けや貯金を崩すなど、何とかしのいでいるのではないか」と考察した。
一方で、「生活保護は『恥』『惰性』『怠け者』といった差別や偏見から申請を避けたり、車所有要件を誤解していたりして、申請に至っていないケースもある。生活保護は権利で、行政はきちんと保護を促すべきだ」と指摘した。