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食感や外観に優れる冷凍えだまめの製造方法

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0604916 更新日:2023年9月26日更新

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 県産えだまめの通年販売に向けて、高品質な冷凍えだまめ製造技術の開発が県内食品メーカーから求められています。しかし、既存の冷凍えだまめは、冷解凍の影響で生鮮えだまめよりも食感が劣り、更に冷凍貯蔵中に莢表面が乾燥することで、「冷凍焼け」が生じ、外観が劣ります。そこで、本研究では、生鮮えだまめと同等な硬度や外観を保持できる冷凍えだまめの製造・貯蔵・解凍方法の確立を目指しました。


 

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 まずはじめに食感の優れる冷凍えだまめの製造方法について説明します。
 こちらに製造フロー図を示しました。生鮮えだまめと同等な硬度を得るためには、「ブランチング」と「急速冷凍」、この二つが重要な工程となります。
 ブランチングは、「えだまめの莢の厚さ」と「ブランチング処理水の食塩濃度」によって、その処理時間を決定します。具体的には、まず原料えだまめ30莢の莢頂部の厚みを測定します。その後、原料えだまめの平均莢厚からブランチング処理時間を決定します。ここで、えだまめに塩味を付与したい場合は、食塩水でブランチング処理を行います。豆は、食塩濃度が高くなるほど、短時間のブランチング処理で軟らかくなるため、所望の食塩濃度によって処理時間を短縮します。
 最適な処理時間でブランチングをした後、240秒以内に急速冷凍を行います。ブランチング処理後、240秒以内に急冷することで、莢の色が鮮やかな緑色に保持され、外観の優れた冷凍えだまめとなります。この製造フローに従って、冷凍えだまめを製造することで、食感の優れる冷凍えだまめを製造することができます。


 

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 次に、冷凍えだまめの貯蔵中の外観評価方法及び冷凍焼けを防止する貯蔵方法について説明します。
 冷凍えだまめの外観は、消費者が品質を判断する上で重要な項目ですが、冷凍焼けによる外観劣化の評価方法は存在しませんでした。そこで、冷凍えだまめの冷凍焼け程度を段階的に示した冷凍焼けチャートを作製し、外観評価方法の確立を試みました。チャートの作製方法としては、はじめに冷凍焼けしたえだまめのカラー画像を取得し、モノクロ画像そして二値化画像へ変換しました。二値化画像に変換することで、莢表面の冷凍焼け部分を白色に抽出しました。この二値化画像の白色部分の画素数とモノクロ画像の画素数の割合から冷凍焼け面積率10%から70%までの冷凍焼けチャートを作製しました。


 

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 続いて、冷凍焼けチャートを用いた外観評価方法について説明します。
 はじめに同条件で長期貯蔵した試料を50莢以上用意します。ここでは、試料50莢で説明します。用意した50莢と先ほどの冷凍焼けチャートとを照らし合わせながら各莢の冷凍焼け程度を判定し、各莢にチャート番号を付与します。その後、冷凍焼け指数の計算式に各チャート番号の莢数と全体の莢数を代入し、冷凍焼け指数を算出します。この冷凍焼け指数を活用することで、ロット全体の冷凍焼けによる外観劣化を数値化することができます。


 

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 冷凍焼け指数と莢表面の状態を官能で評価した値の関係を示しました。
 官能評価は、市場シェアが高い市販品を基準として、当センター試作品と他社製品の莢表面の状態について9段階で評価しました。冷凍焼け指数は、莢表面の状態を官能評価で得られた数値と強い相関関係にあり、官能で得られる外観評価と代用できる指標であることがわかりました。また、冷凍焼け指数が20以下であれば、シェア率の高い市販品よりも高評価となり、商品性が保持されることがわかりました。


 

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 貯蔵温度の違いによるによる冷凍焼け指数の変化を示しました。
 -18℃貯蔵では、4か月程度で商品性の目安である冷凍焼け指数20を超えて、商品性を失うのに対し、-35℃貯蔵では、12ヶ月保存後も冷凍焼け指数20を下回り、写真のようなきれいな莢の状態を1年間保持しました。このことから、製造後の冷凍えだまめは-35℃貯蔵することで通年供給が可能であることがわかりました。


 

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 最後に解凍方法について説明します。
 冷凍えだまめは、夏場であれば、自然解凍や流水解凍により常温で喫食しますが、秋から翌春までの気温が低い時期は、温めて喫食する機会が増えます。そこで、各種の加熱解凍方式の比較を行いました。その結果、沸騰水、蒸し、過熱水蒸気解凍は、1分間加熱することで、自然解凍と同等な硬度と莢色を保持しながら温かい状態で提供可能であることがわかりました。付け加えますと、電子レンジ解凍は解凍ムラが大きく、写真のように莢の表面が乾いて外観が損なわれるため、不適でした。


 

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 生鮮えだまめと同等な硬度、外観を保持できる冷凍えだまめの製造・貯蔵・解凍方法のポイントは、ブランチング処理時間の調整と急速冷凍、そして製造後の-35℃での貯蔵、また、喫食時に加熱解凍する場合は、沸騰水・蒸し・過熱水蒸気で1分間加熱する ということが明らかとなりました。
 本研究成果を活用していただくことで高品質な県産冷凍えだまめの通年販売が可能となり、ひいては県産えだまめのブランド力向上につながることを期待しております。


 

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