LTOのデータ圧縮とはどんなもの?圧縮容量や方法を解説
長期に渡って大量のデータを保管できる磁気テープ式記録メディアの「LTO」は、銀行や映像業界などをはじめ、多くの分野でバックアップやデータアーカイブの用途に使われています。LTOの記憶容量を確認すると、「非圧縮容量」と「圧縮容量」の2種類が記載されていますが、これらの2つの容量表記にはどのような違いがあるのでしょうか。この記事では、LTOのデータ圧縮についてご紹介します。
目次
LTOのデータ圧縮とは
LTOには、データをそのまま保存した際の容量である非圧縮容量と、データを圧縮して小さくしたうえで保存した際の圧縮容量の2つが記載されています。データ圧縮は専用のハードウェアで自動的に行われるため、圧縮処理を行っても非圧縮のデータと比較して処理が遅くなることはありません。データを圧縮することで同じ転送速度でもより多くのデータをテープ内に保存できるため、性能面での向上が期待できます。
世代によって異なる圧縮容量
LTOでは、データの圧縮にALDC(Adaptive Lossless Data Compression)というデータ圧縮アルゴリズムを採用しています。ALDCは圧縮したデータを復元しても元のデータと完全に一致させられる方式で、圧縮率も高いため、テープストレージにおけるデータ圧縮の方法として使われることが多いです。圧縮が容易な文書データなどでは2倍から5倍ほど、圧縮が困難な実行ファイルなどでは1.3倍から2.5倍ほどの圧縮率となっています。
LTOには2020年9月現在、1から8までの世代があり、LTO-5までのデータ圧縮率は2対1でしたが、LTO-6以降の世代では圧縮エンジンで使用するバッファ(データを一時的に記憶する場所)を拡張し、圧縮率を2.5対1まで向上させています。LTOの世代ごとのデータ非圧縮容量と圧縮容量は以下の通りです。
- LTO-8:非圧縮容量:12TB/圧縮容量:30TB
- LTO-7:非圧縮容量:6TB/圧縮容量:15TB
- LTO-6:非圧縮容量:2.5TB/圧縮容量:6.25TB
- LTO-5:非圧縮容量:1.5TB/圧縮容量:3TB
- LTO-4:非圧縮容量:800GB/圧縮容量:1.6TB
- LTO-3:非圧縮容量:400GB/圧縮容量:800GB
- LTO-2:非圧縮容量:200GB/圧縮容量:400GB
- LTO-1:非圧縮容量:100GB/圧縮容量:200GB
データの圧縮方法
LTOを使って保存データを圧縮するには、ハードウェアを活用した方法とソフトウェアを活用した方法の2種類があります。それぞれの方法について詳しくご紹介します。
ハードウェアでの圧縮
LTOのドライブ内にはデータ圧縮エンジンが搭載されています。デフォルトでデータ圧縮が有効になっていて、圧縮可能なデータは自動的に圧縮されるため、ユーザー側が特別な操作を行う必要はありません。この設定は、バックアップソフトウェアを利用して無効にすることも可能です。
ソフトウェアでの圧縮
バックアップソフトウェアで設定すると、ソフトウェアによる圧縮を行うこともできます。詳しい圧縮の設定方法や圧縮率などは使用するソフトウェアによって異なるため、あらかじめ説明書などを確認しておくと良いでしょう。
データ圧縮の際に、ハードウェアによる圧縮とソフトウェアによる圧縮を同時に設定することもできますが、ソフトで圧縮したファイルをハードで圧縮しても、圧縮率が大きく変わることはありません。ハードとソフト両方で圧縮処理を行うと、かえってデータ容量が増えてしまうこともあるので、設定の際は注意が必要です。
ファイル形式によっては圧縮できないので注意
LTOドライブでデータを圧縮する際に、すでに圧縮されているデータや圧縮しても容量を少なくできないデータは、自動的に圧縮しないようになっています。
たとえば画像ファイルや動画ファイルなど、ファイル作成の段階ですでに圧縮されているようなデータの場合、テープドライブで圧縮処理を行っても容量はほとんど変わりません。
またファイル形式によって、2倍以上の高い圧縮率で圧縮可能なものやほとんど圧縮されないものなど、圧縮率にばらつきがある点にも注意が必要です。どのようなデータを書き込むかにも左右されますが、LTO製品を選ぶ際は、圧縮容量ではなく非圧縮容量を見て容量を考えると良いでしょう。