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気道管理:ダブルルーメン気管チューブ挿管
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適応

絶対適応

  • 肺分離
    • 感染症(非罹患肺の汚染予防)
    • 肺出血
  • 換気分布のコントロール
    • 気管支胸腔瘻(瘻を介した空気漏出の防止)
    • 気管支胸腔皮膚瘻(瘻を介した空気漏出の防止)
    • 主要な誘導気道の外科的開口
    • 巨大な片側性囊胞またはブラ
    • 片肺病変に起因する致命的な低酸素血症
  • 片側気管支肺洗浄

相対適応

  • 手術手技(強い適応)
    • 胸部大動脈瘤
    • 肺摘除術
    • 肺上葉切除術
    • 縦隔露出
    • 胸腔鏡検査
  • 手術手技(中等度の適応)
    • 肺中葉と下葉の切除術
    • 亜区域切除術
    • 食道切除術
    • 胸椎の処置
  • 完全に閉塞した慢性片側肺塞栓の除去後の心肺バイパス後状態
  • 閉塞性肺疾患に起因する重度の低酸素血症
  • 集中治療のための分離換気

禁忌

絶対禁忌

  • 患者による拒否
  • 閉塞、圧排、外傷、出血など合併症を引き起こす恐れがある気道(喉頭または気管)腫瘤・異物

相対禁忌

  • 胃内容物の誤嚥を防ぐために迅速な挿管を必要とする患者
  • 挿管困難と予測される患者

必要物品

  • 喉頭鏡
  • 気管支ファイバースコープ—小口径
  • 先端の柔らかい気道用鉗子
  • 適切なサイズと形状のダブルルーメン気管チューブ(DLET)
  • 潤滑剤〔例:K-Y(ルブリケーティング)ゼリー®または2%リドカインゲル(キシロカイン®ゼリー)〕
  • カプノグラフィーまたは色彩識別呼気終末二酸化炭素検出器
  • 粘着テープ

解剖

気管は、声門の下の頸部に始まり、食道の前方に位置する線維軟骨管です。気管前面は一連のC形軟骨輪から構成されることが特徴です。胸部気管はおよそ5~6cm伸び、気管分岐部で終わり、左右の主気管支に分かれます。主気管支は気管分岐部から下外側に伸び、同じくC形軟骨輪によって支えられています。気管の輪状軟骨は不完全で、つまり気管の後壁には輪がないことに注意が必要です。気管支では、輪はほぼ全周になります。輪を光ファイバーで観察し、C形か全周かを調べることで気管と気管支を区別することができます。


右主気管支の方が左気管支よりも幅が広くて短く、およそ2.5cm対5cmで、より垂直に分岐します。3つの区域気管支に分かれ、右肺の上葉、中葉、下葉に供給します。右上葉気管支の分岐にはかなりの個人差がありますが、通常、右上葉気管支のすぐ近くで起こります。


左主気管支は左上と左下の2つの区域に分かれ、左上葉と小舌、左下葉にそれぞれ供給します。

表 1: ダブルルーメン気管チューブサイズ
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図4:気管・気管支の解剖
出典:Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al: Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia, Churchill Livingstone/Elsevier, 2008.
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図5:気管後部。 気管軟骨輪が不連続であることに注意。
出典: Drake R, Vogl AW, Mitchell AWM, et al: Gray’s Atlas of Anatomy. Philadelphia, Churchill Livingstone/Elsevier, 2008.
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手技後ケア

  • 処置終了時にDLETを抜く際に、まずチューブの各ルーメンを吸引します。慎重に両方のカフから空気を抜き、陽圧をかけながらチューブを抜きます。
  • 術後換気にシングルルーメンチューブが必要な患者においては、気道確保困難が予測されない場合、DLETを抜いた後に直接喉頭鏡でチューブを挿入します。
  • 適切なサイズの気道交換カテーテルは再挿管を容易にすると思われます。両方のルーメンを吸引し、麻酔深度が適切であることを確認した後、DLETのどちらかのルーメンに交換カテーテルを下行させ、上のDLETをゆっくり抜き、交換カテーテルを確実に適切な位置に留置します。交換カテーテルの上にシングルルーメン気管チューブを置き、ゆっくり挿入します。喉頭鏡で後咽頭から舌を持ち上げると挿入が容易になります。
  • 手術中、あるいはDLET留置によって気道浮腫が生じると、初回のDLET留置よりも気道管理が難しくなることがあります。


合併症

  • 挿管の失敗
  • 手術中のチューブの位置異常とそれに伴う不適切な肺分離、低酸素血症、気管支カフの脱出によって生じる反対側の閉塞
  • 挿入または抜去中の気道の外傷性損傷
    • 嗄声
    • 咽頭痛
    • 粘膜の斑状出血
    • 披裂軟骨脱臼
    • 声帯断裂
    • 声帯麻痺
    • 気管または気管支の裂傷
    • 気管・気管支破裂
    • 気胸
    • 出血
    • 過剰なDLETカフ内圧による気管または気管支組織の壊死
    • 反回神経損傷
    • Carlensチューブのフックの切断およびその結果生じる気道内異物


結果とエビデンス

  • 経験の浅い人が実施する場合、DLETは気管支ブロッカーと比較して配置が簡単であり、肺分離において同様な効果があります。
  • 気管支ブロッカーは高い配置失敗率、配置異常の高い発生率、配置に要する時間の延長と関連していました。
  • 笑気を使用する麻酔の場合、気管支カフをを膨らませるのに空気の代わりに生理食塩水を用いると、手術中のDLETの移動が少なくなると思われます。
  • 気管支ブロッカーを使用した患者と比較して肺分離にDLETを使用した患者は、嗄声の発生率と持続期間、声帯病変の発生率、咽頭痛の持続期間がかなり増加します。
  • ファイバー気管支鏡はチューブの位置の評価に役立ち、位置異常と挿管時間を減少させます。
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