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衣類の大量廃棄はなぜ起こる? 現状と背景について解説

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近年、ファストファッションの台頭で手軽に購入できるようになった衣料品。その一方で、生産や販売過程、そして使用後に大量に廃棄されているのをご存じでしょうか。この記事では、衣類の大量廃棄の現状と、循環型社会の実現に必要なことを解説していきます。

目次

日本で廃棄される衣類の量は?

日本総研の算出によると、日本国内で新規供給される衣類の量は81.9万トン(2020年)に上ります。その約9割に相当する78.7万トンが事業者と家庭から排出されており、そのうち廃棄処分される量は51.0万トン。つまり排出される衣類の64.8%が産業廃棄物や一般廃棄物として処分されています。一方リサイクルされる量は12.3万トン(15.6%)、リユースされる量は15.4万トン(19.6%)となっており、再利用が進んでいないことがわかります。

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また、環境省のデータでは、一日に焼却・埋め立て処分される衣類は1,200トン、なんとトラック120台分にも上るとされ、毎日大量の衣類が廃棄されていることがわかります。

一方で、ファストファッションなどの安価で大量生産・販売される衣服が広まったことで、一着あたりの価格は低下傾向にあります。それに伴い、国内における衣類の供給量は増加し、衣類のライフサイクルは短くなる一方です。皆さんのご自宅にも、たんすの肥やしになっている衣類がたくさんあるのではないでしょうか。

衣類廃棄物にはどんな種類がある?

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一口に衣類廃棄物と言っても、実は大きく分けて3種類あります。

  • 生産工程で出る廃棄物

    日本の小売市場で販売される衣類の約98%は海外からの輸入です。原料の生産や紡績、縫製や染色などの多くは途上国で行われており、この過程で大量の繊維廃棄物が排出されます。

    具体的には、繊維から糸を撚り、糸から生地を織る際に大量の糸くずが出るほか、衣類の生産工程でも端切れなどが多く出るものの、これらは同一素材のため比較的再利用しやすいとされています。

  • アパレルメーカーから出る廃棄物

    大量生産された衣類の多くが売れ残り、一部は来シーズンに再販売されたり、卸・商社などに返品されたりしますが、廃棄処分されるものも少なくありません。

  • 消費者から出る廃棄物

    環境省が出している国民一人当たりの年間平均衣類消費を見ると、購入枚数は約18枚、手放す数は約15枚、着用されない服が35枚というデータもあります。

このように、一口に衣類廃棄物と言っても様々な種類があり、それぞれの工程で課題を抱えていることから、生産者、消費者の双方が大量廃棄を生まない方法を考える必要があるのです。

なぜ衣類の大量廃棄が起こるのか?

ではなぜ、このような衣類の大量廃棄が問題とされるようになったのでしょうか。その原因と影響を見ていきましょう。

ファストファッションの誕生

ファストファッションは流行の服を安価で提供する一方、生産を担う途上国では劣悪な労働環境に加え、廃棄についても問題を抱えています。実際、大量生産された衣服のうち、余ったものや古着の一部はこうした国々に送られ、適切に処分されないまま投棄され、環境問題の原因にとなる事例も報告されています。

アパレル業界の慣習

衣類の大量廃棄の背景には、アパレル業界の慣習も影響しています。消費者ニーズの多様化に合わせてさまざまなブランドが展開されるなか、各社が売り切れのリスクを避けるために大量の在庫を抱えています。しかし、売れ残ってしまった製品はすぐに流行遅れになってしまい、再販売が難しいという事情もあるようです。

ライフスタイルや価値観の変化

昔のようにものを大切に扱う価値観が失われつつあります。買ってすぐ捨てるというライフスタイルが定着したことで、洋服は長く着るものではなく、流行とともに絶えず入れ替えるものとなってしまいました。

リサイクルの難しさ

「リサイクルの難しさ」も大量廃棄を引き起こす一つの要因となっています。例えば、鉄やアルミなどの金属は、一度使用されても同じ資源として再利用が可能です。しかし、衣類はさまざまな素材が混合されて作られているため、再資源化は非常に難しいとされています。

例えばコートでは、表地と裏地の素材が違っていたり、金属のファスナーやプラスチックのボタンなどが付いていたりします。これをすべて分解し、それぞれ資源に戻すことは大変な手間とコストを必要とするのです。

このように、衣類の大量廃棄にはさまざまな原因があり、それらが複雑に絡み合っているのが現状です。

衣類の大量廃棄をなくすために必要なことは?

多くの原因が複雑に混在している衣類の大量廃棄ですが、この問題を解決するには、生産者、消費者それぞれの努力が必要です。さらに、困難とされているリサイクル技術も研究を進め、さらに発展することが期待されています。

企業は循環型の生産へ

重要なことの一つは、これまでの大量生産から適量生産へシフトすることです。そのために生産側は、消費者に服を長く着続ける重要性を訴えると共に、時流をとらえたタイムレスな商品を生み出し続けていく努力が必要になります。また、リサイクルの難しさについても、製造段階でリサイクルしやすい素材を使用するなど、廃棄をいかに少なくするかを前提とした生産が求められます。直近では生産・製造工程を見える化し、トレーサビリティを高めることで、生産から廃棄まで企業が責任を持つようにする仕組み作りも始まっています。このような取り組みが今後ますます加速していくでしょう。

消費者はエシカル消費を

消費者にできることは、買おうとする商品について知り、考えることです。最近は、商品が生産された背景を知り、自分が買うことでどのような影響があるのかを理解して購入を決める「エシカル消費」という考え方が広まってきました。判断基準にしやすい国際認証ラベルなどもあるため、参考にするとよいでしょう。

衣類のリサイクル技術の発展

複合素材によりリサイクルが難しいとされている衣類ですが、色々な企業や研究機関でリサイクル技術の開発が進んでいます。加えて、リサイクルの仕組みを構築することも重要です。企業や自治体ごとではなく、産業全体として衣類のリサイクルに取り組んでいかなければなりません。

アパレル商品の廃棄・リサイクルでお困りの方は

循環型社会への実現へ向け、リバーグループではアパレル商品の処理に関する様々な取り組みをしています。

<リバー株式会社のアパレル廃棄物実績>

・廃棄物の種類:衣類、シューズ、小物類

・規模:年間80,000kgのアパレル商品を機能破壊

<よくあるご質問>

  • ブランド製品は流出しませんか?イメージを棄損するため適正に処理してほしいです。

    リバーグループでは、運送から処理までワンストップなので、流出リスクを最小限に抑えることが可能です。廃棄証明書の発行もしておりますので、ご安心してお任せください。

  • どんな場所で処理されますか?

    リバー東松山事業所で処理を行います。機密文書や電子廃棄物など、厳格な管理が必要とされる品目のリサイクルを得意とする工場です。アパレル製品は横流しやコピーができないよう、破砕機を用いて細かく破砕処理します。また、当事業所ではISO27001情報セキュリティマネジメントシステムを取得しています。

  • シーズンによっては大量の廃棄物が出るのですが、回収してもらえますか?

    リバーグループは様々な車両を保有しているため、ご要望に合わせた量の回収が可能です。ただし、処理にあたっては設備や人員の稼働状況などもあるため、まずはお問合せフォームよりご相談ください。

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  • 単純に廃棄するだけでなく、環境によい方法で処理してほしい。

    現在、当社では繊維のマテリアルリサイクルは行えておりませんが、サーマル発電やセメント材に利用するなど、単純廃棄でないリサイクルのご提案は可能です。お問い合わせの際にご要望をお聞かせください。

詳しい内容については、下記記載のご提案書をご覧いただくか、お問合せフォームよりご連絡ください。

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