「日米が協力すれば、民主主義は必ずや専制主義に打ち勝つ」。4月16日、米ホワイトハウスの一室。大統領バイデンが正面に座った首相菅義偉に熱く語りかけた。米中対立を「民主主義と専制主義の闘い」と規定したバイデン。トランプ前政権が「コスト(負担)」と軽視した同盟国を「最大の資産」と位置付け、「唯一の競争相手」中国に勝利する未来を描く。  だが米国自身の足元は揺らいでいる。前政権下で顕在化した人種や格差を巡る分断の傷痕は大きく、1月の連邦議会議事堂への襲撃事件で民主主義の盟主としての権威も失墜。民主陣営は今、世界で劣勢に立たされつつある。日本を含む国際社会を巻き込んだ二つの大国の「新冷戦」。世界はどこに向かうのか。  同志を結集  「私は中国国家主席習近平を、世界のどの首脳よりも知っている」。バイデンが会談で続けた。頭に去来するのは10年前、6日間に及ぶ訪中で北京だけではなく20...