難読地名を行く-茨城編

なまって変化? アイヌ語説も 笠間市随分附(なむさんづけ)

【難読地名を行く-茨城編】なまって変化? アイヌ語説も 笠間市随分附(なむさんづけ)
【難読地名を行く-茨城編】なまって変化? アイヌ語説も 笠間市随分附(なむさんづけ)
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常磐自動車道と北関東自動車道が交わる友部ジャンクション付近、田畑やキクのビニールハウスが広がる一帯は「随分附」と書いて「なむさんづけ」と読む。茨城県笠間市の大字だ。全国的にも有名な難読地名だが、どのような由来があるのだろうか。

笠間市生涯学習課や地元の住民などに由来を聞いてみたが、返ってくるのは「よく分からない」との答えばかり。そんな中、「角川日本地名大辞典」(角川書店)には次のような興味深い説が紹介されていた。

「地名は目下の者に自分の身分に随(したが)って、そのつとめを果たすように申し付けるという意味で、『なふさつ』が転訛(てんか)したものという」

少しこじつけにも思える説だが、江戸時代後期の書物にもこの説は紹介されているらしい。

一方、笠間市社会福祉協議会北川根支部が平成26年9月に発行した「北川根支部だより」には、「仏教由来説、アイヌ語説などがあります」と書かれている。

昨年7月に紹介した水戸市木葉下町(あぼっけまち)にもアイヌ語が起源だとする説があったが、難読地名の由来をアイヌ語に求める事例は全国的にも多い。インターネット上でも、随分附の由来がアイヌ語だとするホームページをいくつか見付けることができた。

しかし、随分附がアイヌ語で何を意味するのかは判然とせず、なぜこの漢字が当てられたのかも分からない。「仏教説」についても、詳しいことは不明だ。

各種文献によると、随分附については江戸時代から先人たちが由来の解明を試みてきたが、結局はっきりとしたことは分からなかったようだ。

(桐原正道)

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