裁判員制度10年

評議700分超え 議論が充実

 被告人質問や証人尋問などを踏まえ、被告が有罪かどうか、さらに有罪の場合の量刑を議論する評議にかける時間は、増加傾向にある。平成27年以降は平均700分を超える一方、経験者アンケートでは評議での話しやすさや議論の充実度について好意的な回答が7割以上を占めている。

 最高裁の総括報告書によると、22年は法廷で被告人質問などを行う開廷時間が平均649・6分、評議時間が平均504・4分と、評議時間よりも開廷時間の方が長かった。しかし25年に逆転し、30年は開廷時間が平均640・3分、評議時間が平均778・3分となった。

 ある刑事裁判官が「1期日にいろいろ詰め込まないようにしている」と話すように、裁判員の負担に配慮してゆとりのある審理計画を立てる傾向にある。

 裁判員経験者へのアンケートでは、評議での話しやすさについて「話しやすい雰囲気だった」と答えた人、評議での議論の充実度を「十分議論ができた」と答えた人はいずれも制度施行以降、常に7割以上を占め、おおむね好意的だ。

 総括報告書では、審理実日数(選任手続きや評議、判決言い渡しのみだった日は除く)が30日以上に及んだ長期事件と、それ以外も含めた全事件を比較。評議での議論の充実度について「十分議論ができた」と答えた人の割合は、全事件と比べて長期事件の方が多く、裁判にかかる日数が長くても充実感を感じていることがうかがえる。

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