安保/憲法/経済、3氏の政策比較 自民総裁選

自民党総裁選(17日告示、29日投開票)は、11日までに岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎ワクチン担当相が立候補を表明し、構図が固まりつつある。3氏の政策を比較すると、外交・安全保障、憲法改正、経済政策などで独自色がうかがえる。

【外交・安全保障】

岸田氏は中国を念頭に、半導体など重要物資の確保や技術流出の防止のための「経済安全保障推進法」制定を掲げ、担当閣僚新設も視野に入れる。

高市氏は「敵基地の迅速な無力化」を主張、安倍晋三前政権で浮上した「敵基地攻撃能力」の保有議論を引き継いだ形だ。次期国会で中国の人権侵害などを非難する決議の採択を目指す考えも示している。

河野氏はサイバーなど新たな分野における自衛隊の能力強化を訴える。慰安婦問題では旧日本軍の関与を認めた河野洋平官房長官談話を引き継ぐと明言した。

【憲法】

岸田氏は自民党が示した緊急事態条項新設や自衛隊明記を含めた改憲4項目について、在任期間中の実現を目指すとしている。

高市氏も「時代の要請に応えられる日本人の手による新しい日本国憲法」の制定に意欲を示す。

河野氏は新しい時代にふさわしい改憲を訴えるが、10日の会見では日程や改憲項目には言及しなかった。

【皇位継承】

岸田氏は女系天皇に反対する立場を打ち出した。

高市氏も旧皇族の皇籍復帰を可能にする案を支持し、皇位継承の男系維持を訴える。

河野氏は過去に女系天皇容認ともとれる発言をしたが、旧宮家の男系男子の養子縁組を選択肢とした政府の有識者会議の中間整理を支持する考えを表明し、軌道修正した。

【新型コロナウイルス】

岸田氏は、医療難民ゼロやステイホーム可能な経済対策などを発表した。

高市氏は海外生産に依存する治療薬の国産体制の整備などにも意欲を示す。

河野氏は、3回目のワクチン接種の準備に加え、2回目接種後の経済・社会の平常化プログラムを示す意向を示した。高市氏と同様、感染症対策としてロックダウン(都市封鎖)の必要性にも言及している。

【経済政策】

岸田氏は岸田派(宏池会)創設者の池田勇人元首相に倣って「令和版所得倍増」を掲げ、子育て世帯の支援強化などを訴える。

高市氏は日本経済の強靱(きょうじん)化を目指す「サナエノミクス」として、金融緩和や財政出動などで2%の物価目標達成を目指す考えだ。

河野氏は2%達成は「かなり厳しい」と指摘。労働分配率を一定水準以上にした企業への法人税の特例措置などを打ち出す。

会員限定記事会員サービス詳細