令和5年度も、多くの大学でさまざまな学部が新設される。分野としては、ここ数年で設置が相次ぐ情報系のほか、心理系や医療系などの学部が目立つ。新しい学部は、社会の変化を受けて新たな時代に求められる人材の育成を目指すものが多い。一方、入学してから実際にどんなことを学べるのか、入試の科目はどうなっているかなど、よく確認することも大切だ。
来年度に新設される情報系学部で注目を集めているのは、一橋大(東京都)のソーシャル・データサイエンス学部。難関国立大学である一橋大が新学部を設置するのは72年ぶりといい、難易度が近い他大学の志望動向にも影響を与えそうだ。国立大学としては、ほかに和歌山大(和歌山県)が社会インフォマティクス学環を開設。公立大学では、名古屋市立大(愛知県)がデータサイエンス学部を発足させる。
私立大学でも情報系学部の新設が続く。平成26年の開学から続々と学部を設置している大和大(大阪府)が来年度は情報学部を開設するほか、京都女子大(京都府)がデータサイエンス学部、順天堂大(東京都、千葉県など)は健康データサイエンス学部の新設を予定している。
コンピューター理論などを扱う研究分野の情報科学は以前から工学部などに置かれているが、新しい情報系学部は社会のデジタル化やIT人材の需要を背景に実社会での応用に力を入れる傾向が強い。その先駆けは平成29年に開設された滋賀大(滋賀県)のデータサイエンス学部で、今年スタートした近畿大(大阪府など)の情報学部などが続いている。AI(人工知能)やビッグデータ、統計解析などをキーワードとして掲げるところが多い。
そのほかの分野では、受験生の人気が高い心理系の学部の新設も目立つ。龍谷大(京都府など)が心理学部、京都橘大(京都府)は総合心理学部を新たに設置する。また、医療系の学部は資格の取得に直結するため根強い支持がある。
新たな価値観や時代のニーズに対応した新設の学部も目を引く。国立大学では静岡大(静岡県)がグローバル共創科学部、島根大(島根県)は材料エネルギー学部を開設する。
新設学部の場合、名称だけでは学びの内容がわかりにくいことがある。近年は文理融合タイプの学部も多いが、入試での数学や理科の取り扱いなどに注意が必要だ。志望校として検討するときは、それらをしっかりチェックしておきたい。