「大人がなりたい職業」、トップは医師 コロナ禍で職業観に変化 サントリー調べ

職場に向かう人たち=東京都内
職場に向かう人たち=東京都内

「働く大人がいま、なりたい職業」の第1位は医師ー。缶コーヒー「BOSS(ボス)」を手がけるサントリー食品インターナショナルは調査リポート「大人がなりたい職業ランキング」を発表した。生まれ変わっても同じ職業につくという人は約3割にとどまる一方、比較的新しい職業では「心理カウンセラー」が人気を集め、コロナ禍で「人や世の中の役に立ちたい」といった職業観の変化が垣間見られた。

調査は8月にBOSSが発売30周年を迎えたのを機に、10月14~19日、調査会社のマクロミルを通じて、インターネットによって30~60歳代の働く男女1500人を対象に実施された。BOSSは、米俳優トミー・リー・ジョーンズが扮する「宇宙人ジョーンズ」が地球人に化けて、日本の様々な職業に潜り込んで地球の潜入調査を行うというCMを平成18年から展開しており、「働く人の相棒」を商品コンセプトに据えている。

「生まれ変わっても同じ職業」は3割

「働く大人がいま、なりたい職業」との質問では、1位の医師が6.6%。2位は「社長・起業家」(4.3%)、3位には「パイロット」(3.5%)が入った。選んだ理由について、医師は「人を助けたい」、「社会の役に立ちたい」、社長・起業家は「自分の力を試したい」、パイロットは「憧れ」などの意見があがった。

どんな職業にもなれるなら、いまなりたい職業ランキング(サントリー「BOSS」調べ)
どんな職業にもなれるなら、いまなりたい職業ランキング(サントリー「BOSS」調べ)

一方で、「もし生まれ変わるとしたら、現在と同じ職業になりたいか」との質問に対し、全体の31.3%が「なりたい」と回答した。その理由として、「やりがいがあるから」、「うまくいくとうれしい」などの意見が多かった。残る7割弱は「なりたくない」と回答し、「もっと勉強をしておけばよかった」などといった後悔する声あった一方、次のチャンスがあれば「興味のある仕事」「好きなこと」をしたいなど、やりがいを求めて他の職業を目指す人が多かった。

平成から令和にかけての30年間に生まれた新しい職業でなりたいものを複数回答で選んでもらったところ、第1位は心理カウンセラーで全体の12.7%。第2位はシステムエンジニア(SE)とファイナンシャルプランナー(FP)の同率で各10.9%。特にSEは男性、心理カウンセラーは女性の人気を集めた。心理カウンセラーは「困っている人を助けたい」、SEは「スキルアップなどの可能性」、FPは「人の役に立ちたい」などが主な選んだ理由となった。

子供の夢持ち続ける難しさも

一方で、子供の夢を持ち続けることの難しさもあるようだ。「今の大人が子供の頃になりたかった職業があったか」との問いには実に75.3%が「あった」と回答。具体的には、「野球選手」(7.7%)、「保育士・幼稚園教師」(7.3%)、「教師・教員・講師」(6.8%)と続く。

また「子供の頃になりたかった職業になったか」と聞くと、「なった」が6.5%、「近しい職業になった」が4.2%で、89.3%で「ならなかった」という。

働く価値が多様化

調査結果について、早稲田大学教育学部の原克(はら・かつみ)教授は「自分の力を試したいなどという積極的動機と、今の労働環境を変えたいという消極的動機の両方の側面がある」と指摘した上で、「コロナ禍で在宅勤務などの新たな働き方も広がるとともに、ワークライフバランスも重要視されており、人生における仕事の価値が多様化している。人生の一部である仕事が、働く人にとってどんな役割を果たすのか、見つめ直すことが必要」とコメントしている。

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