大阪府、高校完全無償化 来年度以降 府民は公立大も

大阪府は9日、所得制限のない高校授業料の完全無償化を、令和6年度から学年ごとに段階的に進めるスケジュールを公表した。公立、私立を問わず対象とし、8年度に全学年での完全無償化実現を目指す。府民が大阪公立大に通う場合も同様のスケジュールで無償化する方針。いずれも吉村洋文知事が4月の知事選で公約として掲げていた。

9日開かれた府の戦略本部会議で示された素案によると、新たな無償化制度では入学年度による授業料負担の不公平感ができるだけ出ないように配慮した。

現在の高校1、2年生をモデルにした場合、高1生は1、2年時は有償だが、3年時は無償。一方、高2生は3年時が無償となり、高校在学中のトータルの無償期間が等しくなるような設計とした。

将来、大阪公立大に進学する場合、現在の高校2、3年生はいずれも公立大1年時は有償で、2年時以降は無償となり、こちらも大学進学後の無償期間に差が出ないようにした。

現行の所得制限のある高校無償化では、府が設定する「標準授業料」(60万円)を超える授業料は学校側が負担している。今後、府外の私立高校に進学するケースも想定し、府外学校側にも制度参加を求める。

高校全学年で導入した場合は新たに毎年200億円超の財源が必要となるが、これまで府債返済のための積立金「減債基金」の穴埋めに投じてきた分が5年度末以降は不要となることから、これらを充当する。

大阪公立大については、来年度の大学4年生から段階的に授業料と入学金を無償化する。

現行制度は平成22年度、私立高校で一定所得未満の世帯を対象に国の「就学支援金制度」に上乗せする形で始めた。大学でも令和2年度に所得制限のある無償化制度を創設している。

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