2009年5月29日付の産経新聞に掲載した連載「病と生きる」のアーカイブ記事です。肩書、年齢、名称などは掲載当時のまま。
歌手のペギー葉山さん(75)は糖尿病や脳梗塞などを患い、平成17年に亡くなった夫で俳優の根上淳さんを介護した。多くの友人の励ましで、悲しみを笑い飛ばせるようになったというペギーさんは「高齢化社会の中で大切なのは、介護に携わった人たちがお互いに情報交換ができるような環境づくりではないか」と語る。
糖尿病だった夫は平成10年8月に突然、脳梗塞を併発しました。お医者さんから私だけ呼ばれて、「俳優の仕事は無理です」といきなり言われたときはもう腰が抜けちゃった。その晩、息子の前で泣きました。私は彼のファンの1人でしたから…。
リハビリでは「右手を出して左の足を前に」と指導されてもできなかった。それなのに「言われなくても分かっている」なんて反抗していました。本当に情けなかったですよ。彼はさっそうとした俳優でしたし、「どうして」という言葉ばかりが頭の中を巡りました。