性別変更には手術を…は違憲か 25日に最高裁大法廷が判断

性同一性障害の人が戸籍上の性別を変更する場合、生殖能力をなくす手術は必要か-。こんな争点の家事審判で最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)が25日に決定を出す。4年前に最高裁で「合憲」とされたが、今月に入り家裁で「違憲」とする初の司法判断が出た。社会情勢の変化などを踏まえ、最高裁がどう判断するか注目される。(原川真太郎)

性同一性障害特例法は、複数の医師から性同一性障害の診断を受けた上で①18歳以上②結婚していない③未成年の子がいない④生殖腺がないか、生殖機能を永続的に欠く状態⑤変更後の性別の性器に似た外観を備えている-を全て満たせば、家事審判を経て性別を変更できると定める。

④を満たすには男性は精巣、女性なら卵巣の除去手術などが必須。⑤についても、特に男性から女性への性別変更では手術が必要な場合が多い。

今回、家事審判を申し立てたのは戸籍上は男性で性自認が女性の社会人。手術は心身への負荷や経済的な負担が大きく、ホルモン治療で生殖機能も減退しているなどと訴えた。1、2審は④の規定を理由に性別変更を認めず、⑤については判断を示さなかった。

④の規定を巡っては最高裁第2小法廷が平成31年1月、手術せずに性別変更前の生殖機能で子が生まれると「社会に混乱を生じさせかねない」として「現時点では合憲」と指摘。ただ「社会の変化などに応じ変わり得る」とも言及していた。

一方、女性から男性への性別変更を求めた別の家事審判で静岡家裁浜松支部が今月11日付で出した決定では、31年の最高裁決定を踏まえ、生殖腺除去手術を受ける場合のリスクと社会への影響を検討。性別変更後の出産はまれで、混乱も限られる▽国際的に手術要件は廃止される傾向にある▽性的少数者への理解増進法が今年施行されるなど社会情勢の変化がある―などとして規定を違憲として性別変更を認めた。

今回、最高裁が④を違憲と判断すれば、特例法の要件自体を見直す必要が生じ、手術を受けずに性別変更を望む当事者全体に影響する。判断されていない⑤について、どの程度踏み込むかもポイントとなる。

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