AIの人柄分析で「婚活アプリ」進化 見た目・経歴より心の相性あぶり出す!?

近ごろ都に流行るもの

エウレカの実証実験調査では「見た目のタイプと人柄のタイプが異なった人」が83.3%にのぼった(提供動画より)
エウレカの実証実験調査では「見た目のタイプと人柄のタイプが異なった人」が83.3%にのぼった(提供動画より)

婚活の手段として定着したスマートフォンのマッチングアプリ。今や成婚者の約4人に1人が〝アプリ婚〟という調査もある。膨大な数の候補から探せるのが特徴だが、最近は人工知能(AI)を駆使して人柄を探る新機能で、相性の良い人を見つける精度が高まっている。見た目や経歴重視になりがちな婚活で、「やっぱり違った」という時間的なロスを避けたい利用者側の意向を反映した進化だ。民間企業だけでなく、東京都が来年度に本格稼働する婚活アプリでも「AIが価値観の近い相手」を紹介してくれるらしい。

東京都も参入、決め手は「利他」の心

質問です。今日100万円もらったらどう使う?

「全部貯金」「キャンプ道具一式買う」「半分貯金、半分は恋人と過ごすために」「まずは親孝行」…。さまざまな答えの中から「この人いい」と、ときめく相手にアプローチできるクエスチョン機能は、マッチングアプリ「ペアーズ」が昨年末に導入した。

「直感的に答えてもらうことで、人柄が自然に浮かび上がる機能を作りたかった。プロフィル欄に『私は誠実な人柄です』と書いてあっても、みなさんそうは思いませんよね」と、展開するエウレカ(東京都港区)のアプリ開発担当者、綿引康介さん(28)。

平成24年にスタートしたペアーズは累計利用登録数2千万超の最大手。膨大な候補者から「本当に相性の良い人とだけ出会いたい」との要望は強い。AIが登録者の好みを学習し、自分を好んでくれそうな相手を薦めてくれるが、新搭載のクエスチョン機能は各人の「行動・思考・許容・利他」の感覚をあぶり出すという。特に自分以外の人の幸福のために行動できる「利他」の心は、交際や結婚生活に欠かせない。

「おっ! と目をひく回答もあった。半面、言葉の癖が強かったりすると、この人大丈夫? とか。付き合っていく上で大事にしたいのはお互いさまってこと。譲り合える人を見つけたい」。そう話すのは、医療福祉系企業に勤務する企画マーケティング職の男性(24)だ。昨夏にカップル成立でいったん退会したが交際が続かず、今年1月に改めて登録したという。「結構、見た目で選んでしまったな」と反省。「好みの容姿もあるけれど、今は内面を重視。頭の回転が良くて常識的で、会話が面白い人がいい」

草野球チームで活動する快活な好青年の印象だ。現在10人の女性とアプリでやりとりしているが、「日常ではそんなに女性と出会えない。職場も恋愛には慎重にという方針です」。

ペアーズが昨年10月、既婚・未婚男女6千人以上を対象に調査すると、1年以内に結婚した夫婦の出会いは、マッチングアプリが22・7%。ペアーズのみに絞っても9・9%。10人に1人が〝ペアーズ婚〟という結果になった。今や堂々と「出会いはアプリ」と言うカップルは普通にいる。

東京都でもマッチングアプリの稼働準備を進めている。価値観診断をもとに、AIが相性の良い人を紹介。独身証明、収入証明、書類と面談による本人確認を徹底し、専門員が悩み相談にも対応するという。

並行して、昨年10月から日帰りお見合いツアーを開催。都内在住、在学、在勤の18歳以上で真剣婚活がしたい独身者なら誰でも登録できる。「婚活アプリは、なんとなく怖いという方も少なくない。最初の一歩にしてもらえれば」と都民生活部の事業担当者。

悪質ホストや宗教勧誘、結婚詐欺に利用される可能性が排除しきれない現実もあり、究極には自己防衛しかない。前出のペアーズは、相手の要注意言動をハンドブックにまとめた。

▽将来を匂わせてお金の話▽アプリ外のSNSに誘導する▽かたくなに特定の場所(店)を指定…などを挙げ、ブロックや違反報告、警察への連絡による自衛を呼び掛けている。

出生率アップを視野に入れた婚活支援。昭和時代には各町々にいたという〝仲人おばさん〟が、令和ではスマホの中にいる!?(重松明子)

会員限定記事会員サービス詳細