コンタクト装着時にも使える目薬とは? 安全な使い方や選び方もチェック
眼科医 冨永隆志 先生

監修
眼科医 冨永隆志 先生

東京にある日暮里眼科クリニック理事長。日本眼科学会認定眼科専門医。子どものころ弱視だった経験から眼科の道に。緑内障、網膜疾患、小児眼科を中心に幅広い疾患に対応している。患者さん参加型の眼科医療を目指し、笑顔を絶やさず説明をしっかり行うことを心掛けている。

乾燥やかゆみなどで目がつらいとき、目薬があると安心ですが、コンタクト装着時は装着したまま点眼できる目薬を使用するようにしましょう。しかし 「コンタクトしたまま」「コンタクト用」と記載があるものとないものの違いや、コンタクト装着時に裸眼用の目薬を差してはいけない理由とは…? そこで、コンタクトを装着しているときの正しい目薬の種類や使い方について紹介します。
※本記事で紹介するのは一般用医薬品(ドラッグストアなどで売られている市販の目薬)です。病院等で処方された目薬は医師等の指示に従いましょう。

「コンタクトしたまま」「コンタクト用」の目薬とは

コンタクトケースと目薬ボトル
ドラッグストアなどで売られている市販の目薬を見てみると、「コンタクトしたまま」「コンタクト用」と書かれているものがあります。そのような記載がない目薬と何が違うのでしょうか?
また、コントタクトの種類によっても点眼できる目薬には違いがあるのでしょうか? 詳しく見ていきましょう。

他の目薬とは成分や添加物が異なる

コンタクトを装着しているときに使用できる目薬は、「コンタクトしたまま」「コンタクト用」などと記載されたものに限られます。その違いは、目薬の成分や処方設計です。

市販の目薬に配合されている有効成分や防腐剤などのうち一部の成分は徐々にコンタクトに吸着して、レンズの形状に影響を与えたり、吸着した成分がレンズから放出されて目に傷害を与えたりするおそれがあります。

一方、「コンタクトしたまま」「コンタクト用」と記載された目薬は、レンズへの影響が少ない成分によって作られているので、コンタクトを装着したまま点眼できるのです。

ポイントは目およびレンズに影響のある防腐剤の有無

市販の目薬のほとんどは、一定期間保存できるように、「防腐剤」が使われています。防腐剤にはコンタクトに吸着されやすい成分もあり、コンタクトを装着することで防腐剤の成分が目に接触している時間が長くなると、角膜に障害が出てしまうことも。さらには、コンタクトの形状の変化や白濁、変色といったことが起きる可能性も否めません。

コンタクトの種類と使える目薬について

ソフトコンタクト
コンタクトの種類には、大きく分けるとソフトタイプの「ソフトコンタクト」とハードタイプの「ハードコンタクト」があります。ソフトコンタクトには、ファッション的な用途として使われることも多い「カラーコンタクト」も含まれます。コンタクトの種類によって使える目薬は異なるのでしょうか?

ソフトコンタクトにはコンタクト用目薬を使う

ソフトコンタクトは水分を含んだやわらかい素材のため、目薬に配合されている有効成分や防腐剤がレンズに吸着しやすく、どんどん蓄積され目に刺激を与えたり、レンズの形状に影響をもたらしてしまうことがあります。

そのため、ソフトコンタクトを装着したまま目薬を使う場合は、「コンタクトしたまま」「コンタクト用」の目薬を使用しましょう。

ハードコンタクトにはレンズの種類に適した目薬を使う

ハードコンタクトには主流である酸素透過性と非酸素透過性の2つのタイプがあります。ハードコンタクトはソフトコンタクトほど目薬に配合されている有効成分や防腐剤の影響を受けません。

パッケージ等に「コンタクトしたまま」「コンタクト用」と記載されていたり、効能に「ハードコンタクトを装着しているときの不快感」が含まれている商品が使用できます。

カラーコンタクトは目薬の注意事項をよく読んで判断を

カラーコンタクトは、高度管理医療機器の表示があるものを使用してください。ないものはレンズの品質が不明なのでコンタクトを装着したまま点眼することは避けてください。

カラーコンタクトの場合も、目に与える影響は視力矯正用のコンタクトと同じです。しかし、「コンタクトしたまま」「コンタクト用」と書かれている目薬でもカラーコンタクトには使えないものもあります。「カラーコンタクトを除くすべてのコンタクトに使用できます」といった記載がある場合はコンタクトをしたまま目薬を使用することができません。

そのため、パッケージなどに記載されているコンタクトに関する注意事項をよく読んで、使用するようにしてください。

【市販薬】ソフトコンタクト装着中の目の不快感に使いたい目薬

複数の目薬
市販の目薬には様々なものがありますが、次の項目では、ソフトコンタクトを装着したまま使用しても良いのはどんな目薬なのか紹介します。

市販の目薬を使用しても良い症状例

ソフトコンタクト装着時に次のような目の不快感がある時、市販されている目薬に効果が期待できます。
  • コンタクト装着時の不快感
  • 目のかわき
  • 目の疲れ
  • 目のかゆみ(一部の商品)
  • 目のかすみ(目やにの多いときなど)
市販されている目薬には、コンタクト装着時のさまざまな目のトラブルに対処するため多彩な種類があります。

涙が不足することによる目のかわきや異物感などの不快な症状には、目にうるおいを与える成分が配合されている「人工涙液」を。疲れ目には、目の新陳代謝を促し、ビタミンを配合することで「疲れ目を緩和する目薬」もあります。ちなみに、コンタクトの装着液としても利用できる目薬もあり、コンタクト装着時に目のうるおいを保つ効果が期待できます。

市販の目薬を点眼しても症状が改善されない場合は、目薬の説明文書を持参して医師・薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

目薬の安全&正しい使い方

目薬を差す女性
コンタクト装着時に使用して良い目薬が分かったら、万全を期すために、市販の目薬の使用方法についてもしっかり押さえておきましょう。

目薬の差し方と注意点

大前提として、必ず説明文書を読みましょう。手順は下記の通りです。
  1. 点眼の際は手を石けん、ハンドソープで洗ってください。
  2. 点眼時は頭を後方に傾け、天井を見つめるようにします。一方の手で下まぶたを軽く引っ張り容器を目の真上に持ってきて、皮膚や目に触れないように注意して点眼します。
  3. 目の縁や皮膚についた余分な目薬を清潔なガーゼやティッシュペーパー等でふきとってください。
  4. 点眼容器の先が目、まぶたやまつげ等に触れると目やにや雑菌等を吸い込み、目薬が汚染または混濁することがありますので注意してください。また、液が混濁した目薬は使用しないでください。
  5. 目薬の使用により、目の充血、かゆみ、はれ等の異常があらわれた場合には、使用を中止し、医師・薬剤師または登録販売者に相談してください。

目薬を差すタイミング

目薬は、1日に差す回数など、説明文書に記載している用法・用量に従いましょう。お使いのコンタクトを装着したまま点眼できないタイプの目薬の場合は、一旦コンタクトを外した後に使います。

注意が必要なのは、コンタクトを再び装着する前です。目薬の成分が目の表面に残っているうちにレンズを装着すると、レンズに目薬の成分が吸着する可能性が高まります。点眼後5分以上あけてから、コンタクトを装着するようにしましょう。

目薬の保管方法と使用期限

目薬は直射日光の当たらない涼しい所に密栓して保管してください。特に自動車内や暖房器具の近くなど、高温となるおそれのある場所に放置しないでください。

特にしゃ光性のある携帯用袋が添付されている目薬は、その目薬の成分が光によって影響を受けるため、必ずその袋に入れて保管しましょう。また、しゃ光性のある携帯用袋は入っていなくても使用開始まで製品の箱に入れ、しゃ光保管を必要としている製品もあります。

また、目薬は冷蔵庫で保管できますが、場所によっては凍結しやすい場所があるため凍らせないように注意しましょう。

目薬の使用期限は使用状況や保管条件(場所など)により異なるため一概に言えませんが、市販の目薬の場合は開封後(キャップを開けたあと)3ヵ月が目安です。ただし、目安の3ヵ月以内であっても、液に浮遊物やにごりが見られた場合にはその時点で使用を中止しましょう。

コンタクト装着時の症状には、適切な目薬で対処しよう

瞳がきれいな女性
コンタクト装着時の目薬は、目のかわきや不快感などに対するケアとして使うものが一般的です。目にトラブルや症状が出た場合は、自己判断せず、早めに眼科を受診するようにしましょう。

目薬は、コンタクト装着時の不快な症状を緩和してくれますが、適切なものを使用しなかったり、使い方を誤ったりすると、目やコンタクトにトラブルが起きる可能性もあります。快適なコンタクトライフを送るためにも、適切な目薬、使い方を心がけるようにしてくださいね。

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