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横持ちとは?その原因や無駄を省く方法、縦持ちとの違いも解説

2023.08.09

横持ちの解説図
横持ちとは、工場や倉庫などの拠点間で行う貨物輸送のことです。この記事では、横持ちのデメリットや原因、避ける方法などについて解説します。

千趣会では、物流代行サービス、フルフィルメントサービスを提供しています。 ベルメゾンなどの自社通販で培ったノウハウをもとに、貴社に最適なご提案をいたします。
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目次
  1. 1. 横持ちとは
  2. 2. 横持ちのデメリットや懸念点
  3. 3. 横持ちが生じる原因
  4. 4. 横持ちを避ける方法
  5. 5. 物流のお悩みなら千趣会にご相談ください

1. 横持ちとは

倉庫に停車するトラック

物流業界における横持ちとは、工場や倉庫などの拠点間で行う貨物輸送のことで、配送プロセスにおける「寄り道」だと理解してもよいでしょう(「集約移動」と呼ぶこともあります)。つまり、荷物を最短で運ぶのではなく、他の拠点を経由する配送のことをいいます。例えば、生産拠点から倉庫に荷物を移した後、営業所などに配送する、といったイメージです。横持ちは、基本的に経済的な合理性が低く、物流プロセスで避けることが望ましいものだとされています。

しかし、生産過程や物流システムによっては避けられない場合もあったり、多くの荷物を集荷して長距離移動する場合など、むしろ横持ちしたほうがよい場合もあったりします(この記事では、基本的に在庫不足などによって仕方なく生じる横持ちを想定して解説します)。

なお、引っ越し業界でも「横持ち」という言葉が使われており、その場合は「建物内とトラックのあいだで荷物を移動させること」などを指します。業界によって意味が異なりますが、この記事では物流業界における「横持ち」について解説を行います。

1-1. 「縦持ち」との違い

横持ちと似た言葉に「縦持ち」があります。縦持ちとは、建物の上階と下階のあいだなど、荷物を上下に移動させることです。

例えば、引っ越し作業を行う際に上の階にある荷物を地上へ降ろしたり、建築現場で上の階へ資材を運んだりすることを「縦持ち」といいます。上下方向に荷物を移動させることを「縦持ち」といい、水平方向に荷物を移動させることを「横持ち」というイメージです。

2. 横持ちのデメリットや懸念点

電卓とペン

横持ちには、以下のようなデメリットが存在します。

  • 物流コストが増加する
  • 輸送時間が増加する
  • 作業員の負担が増加する
  • 倉庫が圧迫される

2-1. 物流コストが増加する

横持ちが発生すると、物流コストが増加するというデメリットがあります。

例えば、横持ちによって拠点間で荷物を移動させると、その分だけトラックの走行距離が増えるので、燃料費が増加したり、ドライバー・作業員の人件費が増加したりします。また、非効率な在庫管理によって拠点が分散しており、その結果横持ちが発生しているケースであれば、拠点の賃料も余分にかかっている可能性が高いでしょう。そのほか、自社倉庫ではなく営業倉庫などに保管する場合には、横持ちのたびに入出庫保管料といった経費が発生します。

こうした横持ちにかかるコストは、企業の利益率に影響を与えるため、できる限り削減する必要があります。

2-2. 輸送時間が増加する

横持ちによる輸送時間の増加は、物流コストの増加と並んで大きなデメリットとなります。

横持ちによって拠点間で荷物を移動させると、配送時間が長くなります。横持ちが増えると、トラックの走行時間だけでなく、荷物の積み下ろしや確認作業などにも時間がかかります。そうした細かな時間が増加すると、正確な作業時間を予測したり、効率化して省ける時間を計算したりすることが困難になるといった問題も生じます。最悪の場合、納品遅れや在庫切れなどの問題が発生し、顧客満足度の低下につながる可能性もあるでしょう。

そもそも横持ちが発生すると、1つの荷物を2回以上トラックを使用して運送することになるため、トラックの不足状況にも拍車がかかっていきます。これにより、トラックの空き状況がなく、配送が遅れる・できないといった問題が発生する可能性もあります。

2-3. 作業員の負担が増加する

横持ちは、荷物を何度も積み替える必要があるため、作業員の負担が増加します。

何度も積み下ろしを行い、作業時間が延びると、作業員の疲労が蓄積されるだけでなく、荷物の汚れや破損が生じる可能性も高まります。また、倉庫間の移動に伴い、入出庫管理や在庫記録といった事務手続きもより煩雑となります。

同じ荷物で複数回の入出庫が発生することになれば、作業もより過密になるので、人的ミスによる入出庫品目や数量の相違も起こりやすくなります。

2-4. 倉庫が圧迫される

横持ちは、倉庫の圧迫にもつながります。

するはずのなかった横持ちが発生すると、本来その時期に倉庫に入庫する予定だった商品のスペースが奪われ、倉庫が逼迫する可能性があるのです。

もともと横持ちが発生する背景としては、「生産・出荷の計画がずれている」「在庫が過剰になっている」といった事情なども挙げられます。そんな状況で上記のイス取りゲームのような状況が生じると、さらに倉庫の逼迫に拍車をかけることになり、深刻な問題を抱えた在庫状況に陥ってしまいます。

3. 横持ちが生じる原因

では、なぜそうした横持ちが発生するのでしょうか。横持ちが発生する主な原因としては、以下のような点が挙げられます。

  • 物流拠点が分散している
  • 倉庫に保管する荷物の量が多い
  • 小型トラックへの積み替えが必要になる輸送ルートしかない

3-1. 物流拠点が分散している

物流拠点が分散していることが、横持ちの原因となることがあります。

配送における効率面から考えれば、生産拠点(倉庫)から最短距離で店舗やユーザーに荷物を届けられるとよいでしょう。しかし実際のところ、拠点の面積や機能の問題により、荷物を分散して保管しなければならないケースも少なくありません。

特に近年ではコロナ禍の影響で物流が停滞しており、各営業倉庫は逼迫している状況です。このため同じ倉庫に預けたくても倉庫の余力スペースがなく、「泣く泣く他の倉庫へ預けざるを得ない」といった状況も発生しています。

このように物流拠点が分散していると、複数の拠点から荷物を集めてまわる必要が生じ、横持ちが発生する可能性が高まるのです。

3-2. 保管する荷物の量が多い

倉庫に保管する荷物の量が多い場合、横持ちが生じる可能性が高くなります。

荷物の量が倉庫の収容能力を超えると、複数の倉庫で荷物を保管する必要が生じます。荷物が増える要因としては、生産・出荷計画や販売進度が想定どおりいかなかったり、新商品の開発や新規入荷により取扱品目が増えたりすることなどが挙げられます。

あるいは、繁忙期のシーズンに入り、扱う荷物の量が増え、複数の倉庫で保管しなければならなくなる状況も考えられます。売り上げが増えるのは好ましいことですが、横持ちで増加するコストや時間、作業の手間についても考慮し、対応策を検討しなければなりません。

3-3. 小型トラックへの積み替えが必要になる輸送ルート・配送ロットしかない

小型トラックへの積み替えが必要になる輸送ルート・配送ロットは、横持ちの原因の1つとして挙げられます(配送ロットとは、配送する数量の単位のことです)。

「細い道を通る必要がある」「小型トラックが最適な配送ロットの荷物量である」など、目的地や状況によっては、大型トラックで配送できない(大型トラックではないほうがよい)こともあります。こうしたケースでは、一度集荷した荷物を大型トラックから小型トラックに積み替える必要が生じますが、その作業もまた横持ちの一種にあたります。

3-4. 商品の出荷ロットが小さく、多品目である

取り扱っている商品の出荷ロットが少なく、かつ多品目である場合には、横持ちが発生する可能性が高まります。例えば、小規模な店舗で多量の種類を扱うコンビニなどは、日配品・菓子類・飲料類などを充填する際に、仕入先(メーカなど)から1車単位での配送を行うことが難しくなります。

上記のような場合、自社商品であれば大きな倉庫または多数の倉庫が必要となります。また、他社(メーカー)商品の場合には、少量の商品を都度引き取って配送するのが非効率であるため、一度倉庫にまとめて保管する必要が出てきます。いずれの場合も倉庫間または仕入先と倉庫の間で横持ちが発生してしまいます。

4. 横持ちを避ける方法

このように、さまざまな事情によって生じる横持ちですが、これを避けるためには、以下の方法があります。

  • 物流拠点を集約させる
  • 余剰在庫を整理する
  • 荷物の特性別に分類・管理する
  • 混載便をうまく活用する

4-1. 物流拠点を集約させる

物流拠点を集約させれば、輸送ルートが単純化され、積み替え作業が減り、横持ちを解消することができます。例えば、製品を生産する拠点から直接配送できるようになれば、横持ちにかかるコストや時間、作業の手間を省くことができるようになるでしょう。

一方で、物流拠点を集約すること自体にもコストが発生します。拠点を調査したり、拠点に在庫を移動させたり、新たな物流網を検討するためには、それなりのコストがかかるのです。

しかしそれでもなお、物流拠点を整理・集約したほうが長期的にはコストを抑えられる場合もあります。また、特に近年のように新型コロナウイルスの影響で各営業倉庫が逼迫しており、横持ちが生じやすくなっている状況においては、自社倉庫を保有するなど、社会の影響を受けにくい物流網の構築が重要になります。拠点の集約による効率化の視点と合わせて、他企業や物流業界の動向によって損失を受けにくい仕組み作りが重要になります。

拠点の集約によって横持ちを解消する際は、横持ちによって生じているコストと拠点集約のコストを計算しつつ、また長期的な物流網の安定性を考慮したうえで、集約するのか判断する必要があります。

4-2. 余剰在庫を整理する

余剰在庫を整理することは、横持ちを避けるための重要な取り組みです。余剰在庫を減らせば、物流拠点の数を抑えられ、拠点間の配送(横持ち)を減らすことができます。

まず、余剰在庫を把握するためには、在庫管理システムを活用することが一般的です。在庫管理システムによって、在庫情報をリアルタイムに共有し、在庫の増減を把握することができます。また、在庫情報を分析し、需要予測を行うことで、あらかじめ余剰在庫を回避することもできます。

なお、新商品の開発や取り扱いを積極的に行う会社の場合は、定期的に商品アイテム数の見直しを行ったり、在庫基準の策定などを行ったりすることも重要です。そうした見直しや基準の策定によって合理的な保管体制を構築することができ、また余剰在庫を圧縮することができます。

一方、余剰在庫を削減しすぎると、在庫不足や受注不能などの問題が生じることもあります。そのため、必要最低限の在庫量を維持しながら余剰在庫を整理することが重要になります。

4-3. 荷物を特性別に分類・管理する

保管している荷物には、横持ちが発生しやすいものもあれば、横持ちが発生しにくものもあります。

横持ちが発生しやすい商品
  • 保管時期によって最適な保管温度が変わる商品(例:米など。米は秋~冬は常温保管で、春~夏は低温保管になる)
  • 年間供給を前提としており、販売量が多いが、期間によって販売量に変動が大きい商品(例:日本酒など)
横持ちが発生しにくい商品
  • 販売先が限定されている商品(プライベートブランドや工業部品など)
  • 計画生産・販売がしやすい商品(飲料・調味料など)

※表の中の例は、状況によっては横持ちが発生することも発生しないこともある
そうした特性が異なる荷物を同じ拠点に保管していると、余計な横持ちが発生してまうことが多くなります。そのため、荷物を特性別に分類し、横持ちが最小限になるように管理すれば、横持ちを減らせるでしょう。
また、荷物の特性別に分類するためには、正確な情報管理が必要です。バーコードリーダーやRFIDなどを用いたシステムを導入すれば効率的な荷物の管理・配送を行うことができます。

4-4. 混載便をうまく活用する

横持ち配送は、小口の都度配送ではなく、大型車1車による大ロット配送を行う目的で行われる場合もあります。例えば、遠方への配送も行う一定規模の運送会社は、集荷後、直接配送先へ運搬を行うのではなく、一度センターへ集約(横持ち)し、配送方面ごとに仕分けして大ロット配送を行います。こうしたケースでは、配送元からその都度小口で配送するのではなくまとめて大きなロットで配送したほうが合理性が高く、効率的です。

この場合、品目単位・会社単位の視点で合理性を考慮するのではなく、出発地・着地の視点で合理性を検討することが重要です。具体的には、他社と荷物の相乗りをして配送を行う「混載便」を利用すると効率化が図れます。実際に大手メーカーでは、配送を自社商品一色で行うのではなく、配送先次第で他社製品との混載便を活用しています。こうした会社の垣根を超えた混載便でも、横持ち配送の回数を減らすことが可能になります。

5. 物流のお悩みなら千趣会にご相談ください

商談する女性ビジネスマン

横持ちを避けて最適な物流システムを構築するためには、既存の物流システムの改善点を分析し、適切な対策方法を検討しなければなりません。

千趣会では、「ベルメゾン」など自社ブランドの通販事業で培ったノウハウをもとに、お客様の事業に寄り添った課題解決のご提案が可能です。物流委託を 慎重に検討したいという ご担当者様は、ぜひご相談ください。

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