〈社説〉経済の「好循環」 弱る土台は眼中にあるか

 値上げできれば企業はもうかるはず。給料も上がる。すると消費も増える。つまり商品がよく売れる。そしてまた企業が潤う。

 今年、そんな「好循環」が来ると期待されている。日銀の植田和男総裁は「実現の確度は少しずつ高まっている」と話す。

 支持率が20%台とじり貧。政策の推進力を失いつつある岸田文雄政権は、命運をその実現に賭けているような状態だ。

■限界に来た仕組み

 賃上げがどれだけ進むかが鍵を握るという。給料が増えても、それが物価上昇に追いつかなければ暮らしは楽にならない。連合も経団連も、そして政府も、口をそろえて賃上げの重要性を訴えるのはそのためだ。

 大企業の給料は伸びている。中小に波及すれば好循環が…