老後生活にはいくら必要? 数字が教えてくれる、老後生活費の考え方

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退職を迎える方にとって老後生活のイメージをつけることは非常に重要ですが、退職前後でライフスタイルもガラリと変わるなか、そのイメージをつけるのは簡単ではありません。そのため、図表1の通り老後生活におけるご資金について、多くの退職前後の方々が不安を抱いているようです。今回はこの老後資金について、支出面を考察してみます。

図表1:年代別 お金に関する不安項目(50歳代・60歳代)

回答数上位5位を抽出

(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)よりミライ研作成

不安の一因として・・・老後資金2,000万円問題

退職世代にも老後不安が広がっている要因のひとつに、2019年に話題となった「老後資金2,000万円問題」があるのではないでしょうか。この試算は、金融庁の金融審議会の“統計データ”を基にすると、夫婦2人の場合、公的年金だけでは毎月約5.5万円の赤字になるので、老後を30年と想定すると、

5.5万円×12か月×30年=1,980万円

という計算になります。これが“老後資金が公的年金だけでは2,000万円不足する”というニュアンスで大々的に取り上げられることになったものです。

ですが、この数字はあくまで“当時の平均像”で語られたにすぎません。収入は現役時代の収入に影響を受けるうえ、共働き/片働きによっても年金受給額が変わります。また、そもそも二人以上世帯/単身世帯によっても全く違うものとなるでしょう。

世帯形態ごとの生活費の平均像は?(65歳以上)

まずは生活費が“二人以上世帯”なのか“単身世帯”なのか、で差があるはずです。統計データでこちらを確認してみましょう。図表2は月額消費支出に関する総務省家計調査のデータですが、二人以上世帯では単身世帯よりも1.7倍程度多い結果となっています。これは最低でも二人の生活費であるため、一人当たり最大で11.9万円の計算になります。特に住居費や光熱費などは、二人以上で住むことにより、単身世帯よりも割安になっていることがうかがえます。一方で、交通・通信費などは、二人世帯の方が一緒に出掛けるなどの機会が増えるせいか、単身世帯よりも相当程度多くなっています(三人以上で住んでいる世帯も含まれるため、単純比較はできない)。

図表2:65歳以上 消費支出(単位:万円)
図表2-2:65歳以上 月額消費支出内訳(単位:円)

(出所)いずれも総務省家計調査より、三井住友トラスト・資産のミライ研究所作成

平均では語れない?現在の生活水準と老後の生活水準想定の関係

さて、上記統計データでは、世帯形態の“平均像”を確認しました。一方、もう一つの観点として“生活水準”があります。これは「現役時代の生活水準を老後になったからといって簡単には変えられない」ことが容易に考えられるのではないでしょうか。ミライ研では、「住まいと資産形成に関する意識調査」において「現在の生活費」と「老後生活費の想定」を聴取しています。特に退職前後と想定される50歳代・60歳代(対象3,244名)を抽出してみると、図表3の通り、現在の生活費と老後生活費の想定の平均には正の相関がみてとれます。これはまさに、老後においても現在の生活水準を意識していることの証左であると考えられます。また一方で、現在の生活費が一定額以上である場合、老後生活費想定額は、現在の生活費よりも低く見積もられることもわかります。折れ線グラフに示す通り、現在の生活費が毎月およそ25万円以上の方は、老後生活費を現在のおよそ7~8割と想定しています。

図表3:現在の生活費平均と老後生活費想定の関係(50歳代・60歳代)

「わからない、答えたくない」を除く。n=3,244

(出所)三井住友トラスト・資産のミライ研究所「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2022年)よりミライ研作成

老後にどれだけ“ゆとり”をプラスするかは、人それぞれです。上記のデータもご参考にいただきつつ、ご自身の家計における老後生活費を各自で想定し、個別に老後収支の計画準備を進めていただくことが、“ハッピーリタイアメント”につながる第一歩といえるのではないでしょうか。

執筆者紹介

清永 遼太郎(きよなが りょうたろう)

三井住友トラスト・資産のミライ研究所 研究員

2012年に三井住友信託銀行入社。千葉支店勤務後、2015年より確定拠出年金業務部で企業のDC制度導入サポートや投資教育の企画業務等を担当。2019年より大阪本店年金営業第二部で、企業年金の資産運用・制度運営サポートに従事。2021年より現職。

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