気象病 気圧の変化、体調に影響

2019年11月26日 02時00分
 天気と病気は密接な関係があるとされています。「低気圧が近づくと関節が痛む」「低気圧が通過すると、ぜんそくがひどくなる」などと訴える人もいるようです。低気圧と高気圧が交互に日本上空を通過するこの時期、天気予報を参考に対応すれば症状を和らげることができるかもしれません。
 「気象病」という言葉は一九六〇年代には使われています。気象現象が、人間をはじめとした生物に与える影響を研究する学術者らによる「日本生気象学会」もあります。天気に関係する疾病としては、リウマチ、高血圧、自律神経失調症などが挙げられます。
 体調に影響を与える原因の一つは気圧の急激な変化です。通常の気圧は約一〇〇〇ヘクトパスカル。一平方メートルあたり十トンもの力を受ける計算で、人間の体内もこれと同じ圧力で押し返しています。九七〇ヘクトパスカルの低気圧が通過すると、空気の力は通常より約三百キロ少なくなります。急激な変化に体がついていけないと、体の内と外の圧力バランスが崩れてしまいます。
 気圧が急激に低下すると、気圧を感知する内耳が膨張して、体調を整える自律神経が乱れる原因になります。頭痛や胃痛などさまざまな症状が現れます。また、関節の内部が膨張して神経を圧迫し、関節痛が起きることもあります。
 気温にも注意が必要です。猛暑が熱中症を引き起こすことはよく知られていますが、気温が急激に低下すると血圧が上がり、心疾患や脳梗塞を引き起こす危険も生じます。
 秋や春は移動性高気圧が次々と通過して気圧の変化が激しくなります。前線の通過する前後では、気温や気圧が大きく変化します。普段から天候の変化に敏感な人は、病院で適切な指導を受けるのはもちろん、気温や気圧の変化がどのような時に、どんな症状が出るのか確認してみてはいかがでしょうか。 (布施谷航)

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