衆院選で期日前投票始まる コロナ禍の「3密」防止 選管が積極利用呼び掛け

2021年10月20日 19時34分

感染症対策のビニールが張られた投票所=20日、東京都港区で

 衆院選(31日投開票)の期日前投票が20日、始まった。投票日に仕事や旅行など外せない用事がある有権者向けの制度だが、4年前の衆院選以降は投票者の3割以上が利用する。新型コロナウイルスの感染防止の観点から投票所での「3密」を防ごうと、各選挙管理委員会は期日前投票の積極的な活用も呼びかけている。(小野沢健太、小川慎一)

◆1度使った鉛筆は回収し消毒

 東京都港区役所と区議会庁舎に設けられた投票所では、来場者に投票用紙を渡す場所に飛沫感染を防ぐ大きな透明なビニールシートがかけられていた。1度使った鉛筆を回収して消毒するなど、念入りな感染防止対策が講じられている。

期日前投票をする有権者=20日、東京都港区で

 「投票日に密になるのが怖いので来た」。午後2時前に1票を投じた無職山下智恵子さん(78)は手早く投票を済ませた。団体職員の山崎昭則さん(84)は「自民党政権は弱者の声を無視している。国民は納得してないと意思表示をしてきた」と会場を後にした。
 コロナ禍で留学先に戻れなかった学生の姿も。小林健太郎さん(31)はカナダの大学に留学しているが、世界的な感染拡大を受けて帰国。約1年半、戻れぬ日々が続いた。投票を終えた足でカナダに戻るという。「授業を受けられず、苦しい1年半だった。国内でも修学旅行などの行事ができないなど、若者は我慢を強いられている。ワクチン接種などの対策をした上で、日常に戻す決断も必要なのではないか」と話した。

◆台風接近予想で,前回は4割近くが利用

 期日前投票は2003年の公選法改正で導入され、大型の国政選挙では翌年の参院選から始まった。自治体から郵送される「入場券」がなくても、運転免許証など身分証があれば投票できる。駅構内や大学、スーパーなど商業施設にも投票所が設置されるようになったことで、利用率は上昇傾向にある。
 17年10月の前回衆院選投票日は台風21号の影響で全国的に大荒れの天気が予想され、気象庁が「事前に投票を」と呼び掛ける異例の事態に。投票者数に占める期日前投票者の割合が37.5%と過去最大となった。

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