崖っぷちの社民党、存亡かけた参院選 結党77年、政党要件失う恐れ…起死回生の一手は

2022年6月19日 18時00分

参院選に向けた意気込みを話す社民党の福島瑞穂党首=16日、参院議員会館で

 早くも立候補予定者が街中でマイクを握り、戦闘モードの参院選(7月10日投開票)。選挙戦は自公政権の評価が問われる一方、党の存亡をかける老舗政党にも審判が下される。結党から77年の社民党だ。得票率が2%を下回ると政党要件を失い、その後の選挙活動が不利になり衰退に歯止めがかけられなくなる。各マスコミからは「背水の陣」「崖っぷち」「土俵際」とも表現される。長年、自民党政権と対峙してきた社民党。起死回生の一手はあるのか。(特別報道部・宮畑譲、木原育子)

◆一時は衆院で140議席近く 今は衆参1人ずつ

 まさに危急存亡のときにある党のトップ・福島瑞穂党首が16日午後、東京・永田町の参院議員会館で「こちら特報部」のインタビューに応じた。
 「こんにちは。よろしくお願いします」。ジャケットの色がショッキングピンクということもあってか、思いのほか明るい雰囲気で現れた福島氏。「社民にとって正念場なのは間違いない」と認め、自身も比例代表で出馬することもあり「頑張ります!」と力が入る。
 平成の初めごろには、衆院で140議席近くあったが、今や1議席。福島氏と合わせて衆参の所属議員は2人だけだ。衰退が止まらない理由については「労働組合に支持してもらってきたが、いろいろ政党ができた。その中で党の働き掛けが功を奏していない」と分析する。
 2020年に一部議員らが立憲民主党に合流、党が分裂した経緯を聞くと、「立民が合流を呼び掛け、社民は残ったということ。合流しようとした人がいて、それはその人の選択。社民はあってよかったと思う」と振り返る。
 党首としての責任を問う声には「長い歴史の中でいろんなことがあった。私も党首、副党首をやってきた。それも含めてみんなでやっていきたい」とやや歯切れが悪い。「あまり意見を聞かないという声を聞くが」と問うと、「よく聞くようにしています。チーム社民党として元気でやっています」と答えた。

◆比例で得票率2%以上取れるかが分かれ目

 社民が「崖っぷち」と評されるのは、参院選の結果次第で政党要件を失う可能性があるからだ。政党要件を満たすには、所属国会議員が5人以上か、直近の衆院選か参院選の比例または選挙区全体で得票率2%以上を獲得する必要がある。
 しかし、社民の国会議員は福島氏と昨年の衆院選で初当選した新垣邦男氏(沖縄2区)の2人。衆院選では比例、選挙区とも得票率は2%に満たなかった。
 今回の参院選で4人当選させるのはかなりハードルが高く、比例で得票率2%を取れるかが、政党要件を満たすかどうかの分かれ目になる。政党要件を失えば、衆院選で小選挙区と比例代表の重複立候補ができず、小選挙区で政見放送を流せないなど、選挙活動が制約される。次の選挙では党勢拡大が難しくなり、さらなる衰退も予想される。

◆福島党首「9条堅持のため社民党は国会に必要」

 そうした事態を何とか避けようと、今回は比例代表に前回の倍となる8人を擁立。選挙区でも前回から1人多い4人の公認候補を立て、票の掘り起こしを図る。福島氏は「どんなことがあっても比例120万票で1議席を取り、政党要件を満たす。そして、240万票の獲得と議席増を目指す」との目標を掲げる。
 一方で、明るい材料もあった。前回衆院選で、地方組織が壊滅状態だった宮城県の比例で、前々回より得票数が伸びたのだ。「頑張ってほしいという気持ちが皆さんの中にあるからではないか」という福島氏は、党の存在意義をこう強調する。
 「9条を守り戦争をさせない。新自由主義、資本主義を制限し、社会民主主義に転換するとパッケージで言えるのは社民党だけ。野党第一党のレベルにはなくても役割はある。社民党は国会に必要だ」
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