ロシアの「併合」への非難決議案を否決 国連安保理 ロシアが拒否権、中国など4カ国棄権

2022年10月1日 18時56分
ロシアの「併合」への賛否を採決する国連安全保障理事会=30日、国連本部で(AP)

ロシアの「併合」への賛否を採決する国連安全保障理事会=30日、国連本部で(AP)

 【ニューヨーク=杉藤貴浩】国連安全保障理事会(15理事国)は9月30日、ロシアが侵攻したウクライナ4州を併合する試みを非難し、加盟国に領土変更を認めないよう求める決議案について、ロシアの拒否権行使で否決した。賛成は米欧など10カ国で、4カ国が棄権。米欧は同様の決議案を総会で採択する意向だ。長引く戦争に各国の懸念が高まる中、多数の支持を得られるかが焦点になる。
 棄権した4カ国は中国とブラジル、インド、ガボン。決議案はロシア軍のウクライナからの即時撤退も求める内容で、米国とアルバニアが提出した。
 会合では、ロシアのネベンジャ国連大使が4州での「住民投票」でロシアによる併合に圧倒的賛成が示されたと主張する一方、米欧などから批判が噴出した。
 英国のウッドワード国連大使は「併合は法的な効力を持たない。幻想だ」と強調。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は採決後「ロシアとともに(反対)票を投じた国はなかった」と述べ、193の全加盟国が投票できる総会でロシアの孤立化を進める考えを示した。総会決議は安保理決議と異なり法的拘束力はないが、国際社会の総意を示す意義がある。
 ただ、対米欧でロシアと足並みをそろえる中国以外にも3カ国が棄権したことで、安保理の足並みの乱れも露呈した。先の見えないウクライナ情勢に対し、加盟国の間では食料不足や燃料価格高騰への不安が強まっている。
 棄権したブラジルのコスタ国連大使は、否決された決議案に関し「緊張緩和や和平交渉開始という目標に貢献しない。建設的行動で合意できなかったこの数カ月の繰り返しだ」と指摘。「住民投票」について「正当だとは見なされない」と認めつつ、米欧とロシアの対立激化を懸念した。同じく棄権したインドは「平和への道はすべての外交チャンネルを開いたままにしておくことだ」と述べた。

おすすめ情報

ウクライナ危機の新着

記事一覧