日銀総裁はどうやって決めるの?その仕事内容は? そして黒田総裁の後任は?

2023年1月28日 06時00分
 日銀の黒田東彦はるひこ総裁が4月8日に任期満了を迎えます。来月にも次期総裁の人事案が国会に提示される見通しですが、新総裁はどのように決まるのでしょうか。(寺本康弘、大島宏一郎)
 Q 日銀総裁とはどのような役割でしょうか。
 A 日本の中央銀行にあたる日銀は住宅ローン金利などにも影響する金融政策に大きな責任を負い、1万円札など紙幣の発行や管理もします。職員4624人のトップで、金融政策を決める会合の議長を務め、議論に影響を与えるとされます。
 このため総裁の発言は、投資家の関心を集め、株価や円相場を動かすこともあります。総裁は会見や講演を通じて日銀の考えを投資家らに伝える「市場との対話」も重要な役割です。任期は5年。年収は約3500万円(2021年度)です。歴代総裁の多くが日銀もしくは大蔵省(現在の財務省)の出身です。
 Q 総裁はどのように決まるのですか。
 A 衆議院と参議院で過半数の賛成を得て、内閣が任命します。このため政権の意向や政治情勢などに左右されます。2008年には福田康夫政権が武藤敏郎元財務次官を総裁にする人事案などを国会に提示しましたが、参院で多数だった民主党など野党が2度にわたって否決。総裁のポストは一時、空席となる事態も起きました。
 Q 新総裁の人事はどうなりそうですか。
 A 現副総裁の雨宮あまみや正佳氏(67)と、13年〜18年の副総裁で現在は大和総研理事長の中曽宏氏(69)が有力候補とされます。いずれも日銀出身で黒田氏の下、異例の規模のお金を市場に流し、金利を低く抑える大規模な金融緩和策の立案に携わりました。
 雨宮氏は主に、金融政策を担当する企画畑を歩み企画局長などを歴任。中曽氏は2008年のリーマン・ショックの際に金融市場局長として対応するなど、国際金融に精通しています。ほかに白川氏の下で副総裁を務めた山口広秀氏(71)を推す声も強まっています。
 Q 新総裁への交代で政策や暮らしはどうなりますか。
 A 野村総研の木内登英たかひで氏は、名前が浮上している3人のいずれが総裁になっても現在の金融緩和は「(流したお金の回収などの)正常化が進んでいく」とみます。投資家らは、3人のうち雨宮氏が黒田氏の政策にもっとも近く、中曽氏はやや修正に動き、山口氏は急進的な正常化を進めると見ているようです。
 正常化が進むほど長期金利の上昇や円高の進行、株安が起きやすいです。円高でお金の価値が高まれば物価の上昇圧力が弱まることが期待される一方、ローンの金利上昇や株安による消費の冷え込みなど悪い面が出てくる恐れもあります。

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