<食問>「冷凍焼け」って? 原因と対策は

2023年2月22日 07時54分
 食品を冷凍庫に長く保存しておくと「冷凍焼け」を起こす、とよく聞きます。どういう状態になることをいうのでしょうか。
 温度上昇に注意 開閉短く
 日本冷凍食品協会(東京)の広報部長で、消費生活コンサルタントの三浦佳子さん(62)に聞きました。
 「『焼け』といいますが、焦げるわけではなく、冷凍保存している食品・食材から水分が蒸発し、乾燥してしまう現象のことを指します」。パサパサした食感になるだけでなく、タンパク質の変性や脂質の酸化が進みやすくなるため、味や香りも損なわれます。

家庭の冷蔵庫で温度変化による霜が発生し、冷凍焼けが生じた食品。左は市販の冷凍食品、右はホームフリージングした里芋

 どうして冷凍焼けが起こるのでしょうか。三浦さんは「温度変化が原因です」と言います。家庭用の冷蔵庫は開け閉めで温度変化が起こりやすく、冷凍室内の温度が上がってとけ始めた食品内の水分が、蒸発して抜けることで乾燥してしまいます。抜けた水分は、庫内が再び冷やされると袋や容器内で霜となり、品質劣化の原因になります。
 では、どうしたら防げるのでしょうか。三浦さんは市販の冷凍食品と、家庭で冷凍(ホームフリージング)した食品について、それぞれ対策を教えてくれました。
 マイナス三〇度以下で、おおむね三十分以内に急速凍結させた市販の冷凍食品は、流通の過程でも厳格に温度管理されています。「この『氷のチェーン(鎖)』が買い物の途中や自宅で壊れるのを防ぐことが大切です。温度の上昇でとけかけた食品の水分が、家庭の冷凍庫で再び凍ると冷凍焼けの原因となるからです」
 買い物の時には、冷凍食品は最後に買う▽保冷バッグで持ち帰る▽冷気は下に降りるので、保冷剤は冷凍食品の下でなく上に置いたり、食品ごと新聞紙にくるんだりする▽自宅に着いたら、すぐに冷凍庫にしまう−ことを心がけます。
 ホームフリージングは、マイナス一八度程度の冷凍室では、完全に凍るまで四時間ほどかかります。ポイントは、なるべく速く凍らせることと、乾燥や脂質の酸化を防ぐこと。食材を小分けにしてラップで包み、空気に触れないように密閉する▽凍りやすいように薄く平らにする▽しっかり水気を切る−ようにします。

冷凍焼けを防ぐには、開閉の時間を短縮することも重要。食品は立てて保管すると探しやすく、取り出しやすい(日本冷凍食品協会提供)

 両者に共通して重要なのは、冷凍室の開けっ放しを避けることです。「料理に必要な食材は一度で取り出すようにしましょう。食品を横に重ねず、立てて保管すると見やすく、主食・おかず・果物など種類ごとにエリアを決めると取り出しやすくなりますよ」。外気が入り込むのを防ぐため、冷凍室は食品を隙間なく詰めるのがおすすめです。
 早めに消費するのも大事。三浦さんは「市販の冷凍食品は、賞味期限が一年であっても購入後二〜三カ月で、ホームフリージングしたものは一週間くらいのうちに食べてほしい」と話しています。 (今川綾音)

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  =次回は3月9日掲載

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