柳瀬房子氏が「難民を助ける会」名誉会長を退任 発言が入管法改正の根拠に、入管庁の参与員は継続

2023年6月27日 20時35分
「難民を助ける会」のウェブサイトに掲載された、柳瀬房子氏の名誉会長退任の「お知らせ」(スクリーンショット)

「難民を助ける会」のウェブサイトに掲載された、柳瀬房子氏の名誉会長退任の「お知らせ」(スクリーンショット)

 NPO法人「難民を助ける会」(東京)の柳瀬房子名誉会長が、同職を26日付で退任していたことが同会への取材で分かった。出入国在留管理庁の難民審査参与員を2005年から務める柳瀬氏は「難民を認定したいのにほとんど見つけることができない」などと発言。同会には、事務所への来訪や電話、メールでの抗議が相次いでいたという。退任は24日の理事会で決めた。
 今月9日に成立した改正入管難民法には、3回目以降の難民申請では相当の理由がなければ強制送還できる規定が盛り込まれた。入管庁は、改正が必要な根拠に参与員として難民認定の2次審査をしてきた柳瀬氏の「ほとんど見つけることができない」という発言を引用してきた。一方で柳瀬氏が22年に全体の4分の1に当たる1231件の審査を担当するなど業務が集中していた上、主に書類審査で「不認定」としていたことが明らかになっている。
 同会は、柳瀬氏への批判は、会が行っている難民キャンプ支援にも支障を来す恐れがあるという。担当者は「柳瀬氏が参与員を続けるかは個人の活動なので関知しないが、会の元名誉会長という肩書で参与員をやるのはやめてほしい」と話している。
 入管庁によると、柳瀬氏は現在も参与員として勤務。任期は2025年5月までという。(加藤益丈、望月衣塑子)

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