香港警官発砲、18歳重体 デモ参加中、至近距離左胸に

2019年10月2日 02時00分

1日、香港でデモ参加者(左)に向けて発砲する警察官の映像。銃口から火のようなものが見える=香港大学生会CampusTVのフェイスブックから

 【香港=浅井正智、北京=坪井千隼】中国建国から七十周年の国慶節を迎えた一日、抗議活動が続く香港で、市民らが無許可のデモを決行し、各地でデモ隊と警官隊が衝突した。ベッドタウンの新界地区・チュン湾(ワン)では警官が発砲し、デモに参加した男子高校生(18)が左胸を撃たれて重体となった。一連の抗議活動で警官の発砲による負傷者が出たのは初めてで、今後、政府への反発がさらに強まる可能性がある。
 撃たれたのは中学五年(日本の高校二年に相当)の男子生徒。午後四時(日本時間同五時)すぎ、警官隊と激しくもみ合った後、警官の一人が発砲した。
 香港メディアの映像では、棒を振り回す高校生に対し、警官が数十センチの至近距離から発砲し、左胸を撃たれた高校生はそのまま後ろ向きに転倒した。その後、救急隊員に酸素マスクを当てられ、左胸上部から出血する様子が映し出されている。香港メディアは警官が実弾を発砲したと報じている。九竜地区・油麻地(ヤウマテイ)でも、警官が実弾を二発、空に向けて威嚇発砲した。
 この日のデモは香港全土の六カ所で行われ、参加者は「国慶節ではなく国難の日」と中国政府を批判。デモに参加した男性会社員(30)は「(一九九七年の)返還以来、中国は香港に圧力をかけるばかりで、香港の自治を守る気持ちなどない」と怒りの声を上げた。
 一方、北京では天安門広場周辺で軍事パレードが行われた。習近平国家主席が天安門の楼上で演説し「新しい歴史的な偉業を創造し続けよう」と呼びかけた。習氏は自身の権威を誇示するとともに、対立が続く米国をけん制する狙いだ。
 軍事パレードは史上最大の規模となり、米国本土が射程に入るとされる大陸間弾道ミサイル(ICBM)「東風41」を初めて公開。無人航空機や中国初のステルス戦闘機「殲(せん)20」も登場し、軍の近代化の成果を誇示した。
 楼上には、習氏や李克強(りこくきょう)首相ら最高指導部の七人のほか、健康不安説がたびたび流れる江沢民(こうたくみん)と胡錦濤(こきんとう)の二人の元国家主席も登場した。香港の林鄭月娥(りんていげつが)行政長官の姿もあった。

関連キーワード


おすすめ情報

国際の新着

記事一覧