全国最高の時給「1113円」 東京都の最低賃金 物価高に人手不足…政府方針も後押し<深掘りこの数字>

2023年9月3日 06時00分
 2023年度の全都道府県の最低賃金(最賃)引き上げ額が出そろった。東京都は全国最高で、昨年度から過去最大の41円を引き上げて1113円となった。10月から都内の職場で適用される。
 厚生労働省によると全国平均は43円増の1004円と、初の1000円超え。最も低いのは岩手の893円と、東京との差額は220円で地域格差は大きい。
 最低賃金は、パートやアルバイトなど非正規雇用を含む全ての労働者に対し、企業が最低限支払わなくてはならない時給。下回った企業には罰金が科される。
 物価高騰で、特に生活必需品の値上がり幅が大きい点や深刻な人手不足、政府が掲げた「時給1000円達成」方針による後押しが、押し上げ要因となった。
 東京をはじめとした首都圏は住居費や食費が高く、生活費の高低を踏まえて地域別に差をつけて公平性を保つ狙いがある。ただ、家族で複数の車を所有することも多い地方ではガソリン代がかさむといった事情も懸念される。
 浜銀総合研究所の遠藤裕基・主任研究員は「地方の引き上げ幅を高めにするなど、東京との不公平感に配慮すべきだ」と指摘する。
 一方、企業側では原材料費や輸送費などコスト高に苦しむ中小・零細は多い。遠藤氏は「企業が賃上げに耐えられなければ倒産や失業者が増える恐れもある。企業が雇用を減らすリスクがないかしっかり注視する必要がある」と述べた。(嶋村光希子)

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