望月衣塑子記者が振り返るジャニーズ会見 記者席から見た現場の状況は、「NGリスト」に名前はあったのか…

2023年10月5日 21時36分
 故ジャニー喜多川氏による性加害問題を巡り、ジャニーズ事務所が開いた記者会見で、特定の記者らを質問の指名から外す「NGリスト」が作成されていたことが明らかになった。会見に出席した東京新聞社会部の望月衣塑子記者が、現場の様子を回想しながら、背景を分析する。

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◆「1社1問」「2時間限定」…漂う異様さ

 10月2日の会見は、いま振り返っても異様なものだった。「1社1問に限る」「会見時間は午後2時から4時までの2時間だけ」「関連質問はさせない」などの制限が多く、9月7日にジャニーズ事務所が開いた前回の会見とは全く異なっていた。しかも司会の元NHKアナウンサーの松本和也氏が質問者を選別していることは、その場ではっきり分かった。ジャーナリストの鈴木エイト氏やYouTube番組「Arc Times」の尾形聡彦編集長、そして私など、特定の記者は指名されない。たとえ目が合っても、だ。

記者会見で質問のため挙手する望月記者ら報道陣

 会見では、冒頭の30分ほどが、東山紀之社長や関連会社社長の井ノ原快彦氏らによる、ジャニーズ事務所の社名変更や、芸能事務所機能を移す新会社の説明、藤島ジュリー景子前社長のメッセージの代読などに費やされた。残り1時間半というところで質疑が始まると、私が座っていた最前列では、私を含め10人ほどが挙手。同僚によれば、後列に座っていた多くの記者も手を挙げていたという。

◆最前列で手を上げ続けたが「無視」

 私は質問させてもらいたいと思い、記者会見の開始2時間半前から会場前で待ち、記者では2番目に会場入りして最前列を確保していた。司会の松本氏は、まず私の左隣の東洋経済新報社の記者を指名、次に芸能リポーター、フリーランスの柴田優呼さんと続いた。

記者会見で司会を務めた元NHKアナウンサーの松本和也氏

 柴田さんは「被害の全体調査をしないのか」と尋ねた。事務所の外部有識者による再発防止特別チームは、2カ月で23人の被害者にしか調査していない。だがこの日の説明では9月以降、325人が補償を求め、そのうち150人がジャニーズ事務所に在籍していたと確認できたという。それならば、調査対象を広げるべきだと私は思った。
 そこで「関連で!」と声を上げた。この点を深堀りする質問をアピールしたつもりだった。だが無視された。その後、TBS、フリージャーナリストと続く。被害者補償の質問と回答が出たので「関連で!」と再度、声を上げたが、松本氏に無視された。
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