【会見詳報】旧統一教会の会長、元信者にお詫びも「教団は巻き込まれた」 安倍元首相銃撃事件後に返金44億円

2023年11月7日 18時37分
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長らは7日午後2時から、東京都内の教団本部で記者会見を開いた。
田中会長は、元信者らに「今まで辛い思いをされてこられた皆様方に率直にお詫びしなければならない」と反省の言葉を口にした。安倍晋三元首相の銃撃事件以降、44億円の返金要請に応じたとも明かし「教団は事件に巻き込まれた」と強調してみせた。
銃撃事件後、3回目の会見で初めてお詫びを口にした田中会長。会見が遅れた理由について、「(解散命令請求を巡る)文科省の見解があまりにも受け入れがたかったことが一番大きかった」と述べた。
1時間半にわたった会見の詳報は次の通り。(デジタル編集部)

記者会見で頭を下げる世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長㊧=東京都渋谷区で

【冒頭発言】
本日はお越しいただき誠にありがとうございます。去る10月13日、文部科学省より、当法人に対し、解散命令請求を東京地方裁判所に提出されました。このような事態に至ったことに対し、当法人を代表して、田中富弘より一言見解を申し上げさせて頂きます。
まず、昨年の安倍晋三元首相銃撃事件以降、当法人に対し、多くの苦情や相談、あるいは献金に対する返還請求の要請がございました。元信者の皆様のみならず、現役の信者の皆様もいらっしゃいました。

◆当法人の指導、行き渡らず

伝道者の説明が不足していたとか、あるいは献金に際し、家庭事情、あるいは経済的状況に対して、配慮が不足していたなど、当法人の指導が行き渡らず、不足なこと故に、今まで辛い思いをされてこられた皆様方に率直にお詫びしなければならないと考えております。
また、親の信仰の熱心さ故に寂しい思いをしたり、また経済的に苦しい思いをしたという2世の皆さんの訴えもございました。
個々の事情はさまざまで、全てが信仰ゆえの問題とはいえないかもしれませんが、いかなることがあっても、宗教法人として1人の苦情があってはならないと考えていますし、ましてやこの度は、国と国民の皆さまを巻き込んでの、このような事態に至ったことに関しては、深く反省いたしております。
本日この場をお借りいたしまして、私たちの不足さゆえに心を痛めておられる皆様、また辛い思いをしてこられた二世の皆様、そして国民の皆様に、改めて心からお詫びいたします。
(田中会長は、ここまで語ると、いったん手にしたマイクを机に置き、6秒近く深く頭を下げた)

◆過去に行き過ぎた行動あったかも

私どもは今年で創立64年を迎える宗教法人です。現在も活発に活動する信者は日本全国に約10万人おります。朝夕、真摯に祈りを捧げ、日曜日には協会に赴いて礼拝を行い、聖書や、私たちの教義である統一原理を学び、平日は社会の一員として近所づきあいをしている、普通の日本国民であります。
多くの信者の皆様は家庭連合での学びを通して、他者のために生きる価値観を大切にしながら、幸せな家庭や平和な社会作りにむかって助け会いながら、一生懸命生きていることを理解いただきたいと思います。
確かに過去、当法人の信者の中に、社会通念から見て行き過ぎた行動をしたことはあったのかもしれません。
ただそれも、決して私利私欲を求めて行動したのではなく、ご本人なりに相手のためを思って行ったことと信じております。今後はさらにコンプライアンス宣言内容と、協会改革に基づく指導を徹底し、今年施行された新法などの法律を遵守し、社会的な相当性を逸脱したなどという評価を2度と受けることがないように、最善を尽くすことを固くお約束します。

記者会見する世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の田中富広会長㊧と勅使河原秀行・教会改革推進本部長=東京都渋谷区で

◆返金の要請や相談「不徳の致すところ」

現在までに献金の返金要請や相談を受けていることは不徳の致すところですが、これまでも1件1件、真摯に向き合いながら解決してまいりました。相談内容はさまざまですが、今後も丁寧に向き合い対応していく所存です。
信者の皆様方の家庭にご負担を掛けるものとならないよう、どこまでも献金は各自、各家庭の自主性、主体性が尊重されるべきことを、あらためて指導を徹底してまいります。
当法人として解散命令請求というこの度の文部科学省の措置に関しましては、信教の自由、法の支配の観点から、到底受け入れることはできません。
従いまして、今後もその法的主張をしっかり貫いてまいりますが、同時に2009年のコンプライアンス宣言に基づく教会改革については、誇りを持って一層、推進してまいります。
国民のみなさまの誤解を招くことのないよう、日本国民として法令順守につとめ、日本の公益、国益に役立つ活動を引き続き行う。
なにとぞ私たち家庭連合、信者の皆様の信教の自由に対し、温かいご配慮をご理解をいただきたいと思っております。なにとぞよろしくお願いいたします。
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