杉真理 2月 シティポップのライブ出演 大滝詠一さんに感謝込めて きょう没後10年の命日 

2023年12月30日 07時29分
 シンガー・ソングライター杉真理(まさみち)(69)=写真=が来年2月、横浜市である音楽イベント「シティポップ・スタジオ・ライブ」に出演する。1970年~80年代の日本の楽曲で、海外も注目するシティポップを20曲以上披露するライブで、4曲に参加する。このジャンルの巨匠、大滝詠一さん(1948~2013年)の曲も歌う。若い頃、一緒にアルバムを制作した杉は「自分の好きなことを貫くように背中を押された」と感謝する。 (川上義則)
 ライブの1曲目は、大滝さんの代表曲「君は天然色」。80年代のCMソング「レイニー・サマー」を歌った鈴木雄大と一緒に歌う。
 杉は、シティポップの担い手たちを「好きな洋楽を自分の形で演奏しながらも、70年代には『君たちの音楽は受けないよ』と言われた人たちが多い。その代表格が大滝さん」とみる。

大滝詠一さん=1981年

 杉より6歳上の大滝さんは、70年代の伝説の日本語ロックバンド「はっぴいえんど」のメンバー。解散後、東京都福生市に録音スタジオを構え、50~60年代の洋楽ポップスを追求、複数のアルバムを発表したがヒットはしなかった。だが81年、アルバム「ア・ロング・バケーション」が大当たりし、ロングセラーになった。
 そんな中、大滝さんは杉と、デビュー間もない佐野元春を共作アルバム「ナイアガラ・トライアングルVol2」(82年発表)に誘った。杉は当時、ビートルズの音楽を追究していたが、業界では「今更、ビートルズじゃない」という風潮が強く、周囲に反対され、自身のアルバムにはビートルズ色の強い曲を入れられなかった。だが、大滝さんは「Vol2」への収録を快諾。杉は「おかげで自分の好きなことをやればいいと吹っ切れた」という。
 一方、大滝さんの行動は「理解し難い面もあった」。一つは、自分が歌う姿を人に見せないことだ。「録音ブースに1人で入り、自分で機材を操作していた」。ただ「Vol2」のシングル曲「A面で恋をして」の録音時は、杉や佐野とブースに入り、周囲を驚かせた。その理由を聞いた杉に、大滝さんは「アルバム参加を快諾してくれたお礼だ」と語った。
 「鶴の恩返しみたい」。杉は当時を振り返った。12月30日は大滝さんの命日。今年で没後10年となる。

◆竹内まりやと親交深く 村田和人さんとも

 杉が作った曲は計700近く。他のアーティストに提供した曲も多い。
 今回のライブで「Catch Your Way」とともに披露する「ホールド・オン」は、慶応大のバンド仲間、竹内まりやも歌った。
 杉は、自分の初のアルバム「Mari&Red Stripes」(77年発表)でバックコーラスを務めた竹内に「『曲を作るから歌って』と促した」という。78年にデビューした竹内はヒットを連発し、ソングライターとして活躍している。「国民的歌手になって驚いている。でも、妹のような関係は今も同じ」
 80年代にカセットテープのCMソングだった村田和人さん(1954~2016年)のナンバー「一本の音楽」では、バックコーラスを担う。杉は村田さんとコンサートで、全国を回っていた。「一本の音楽」は最近、海外でも人気で、杉が歌うと、会場で一緒に歌う外国人を見かけるという。「この光景を村田に見せたかった」
 ◇
 「シティポップ・スタジオ・ライブ」は2月12日午後5時から、横浜市中区の神奈川県民ホール。出演は杉、EPO、元オフコースの松尾一彦、SHOGUNの芳野藤丸ら。全席指定9500円。キョードー東京=(電)0570・550・799(1月4日まで休み)。

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