「不記載・誤記載」5億7949万円はどこに消えた?…経緯や使い道を調べない自民アンケートに批判高まる

2024年2月13日 21時55分
 自民党は13日、派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、党所属の全国会議員らを対象に実施したアンケートの結果を公表した。政治資金収支報告書への不記載や誤記載があったのは85人で、2018〜22年の5年間の不記載・誤記載の総額は5億7949万円だった。だが、アンケートには裏金の使途や事件が発生した経緯などを尋ねる設問はなく、真相解明には程遠い内容で、野党は「やったふり」などと批判を強めている。(井上峻輔)

◆「自民執行部はやったふり、裏金議員は答えたふり」

 アンケートは党所属国会議員374人と選挙区支部長10人の計384人を対象に実施。安倍派と二階派に所属する現職国会議員82人と選挙区支部長3人に不記載や誤記載があった。

自民党本部(資料写真)

 5年間の不記載額は、二階俊博元幹事長(二階派)が3526万円で最多。三ツ林裕巳衆院議員(安倍派)が2954万円、萩生田光一前政調会長(同)が2728万円と続いた。東京地検特捜部に立件され、自民を除名された池田佳隆衆院議員や、自民を離党した大野泰正参院議員、谷川弥一前衆院議員は対象になっていない。
 アンケートは、記載漏れの有無、18〜22年の不記載額の2問のみで、裏金の使い道や不記載の経緯などは尋ねていない。この日公表したアンケート結果には、経緯について「一部の派閥が収支報告書に記載しないよう、議員事務所に指導していた」との記述があるが、すでに安倍派議員らが釈明している内容と同じだ。
 自民はアンケートと並行して、不記載があった85人と、八つの派閥・グループの責任者への聞き取り調査を実施。週内の結果公表を目指している。
 立憲民主党の泉健太代表は13日の党会合で「(アンケートが2問で)分からないことだらけ。自民執行部はやったふり、裏金議員は答えたふりをしている」と批判した。立民の岡田克也幹事長も記者会見で「(裏金が)何に使われたかという説明は一切なく、極めて不十分」と指摘。共産党の小池晃書記局長も記者会見で「調査の名に値しない」と酷評した。野党は真相解明に向けて、政治倫理審査会の開催を求めていく。

 自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件 安倍派(清和政策研究会)と二階派(志帥会)、岸田派(宏池会)で議員側がパーティー券の販売ノルマを超えて集めた分を政治資金収支報告書に正確に記載していなかったとされる政治資金規正法違反事件。安倍派では議員側に還流させたノルマ超過分を、議員側も収入として記載していなかった。東京地検特捜部は安倍派の会計責任者や受領額の大きかった議員らを起訴、在宅起訴するなどした。二階派と岸田派の元会計責任者らも立件した。


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