景気動向指数 基調判断11ヵ月連続「悪化」 リーマン時に並び最長

2020年8月8日 05時50分
   内閣府は7日、6月の景気動向指数(2015年=100、速報値)を発表し、景気の状態を表す「基調判断」を11カ月連続で「悪化」に据え置いた。11カ月はリーマン・ショック時と並び過去最長。動向指数のうち、景気の現状を示す「一致指数」は前月比3・5ポイント増の76・4と過去最大の上昇幅を記録したが、水準自体は比較可能な1985年1月以降で9番目の低さだった。
 一致指数は、小売業の販売状況を示す「商業販売額」など景気に敏感に反応する指標から算出。基調判断は、一致指数の推移を基に機械的に決まる。
 今回の一致指数が上昇したのは、衣類や自動車の販売が伸びたため。しかし、緊急事態宣言の影響を受けた4月と5月の落ち込みは深く、6月の反動増では元の水準まで戻らなかったため景気後退の可能性が高い「悪化」に据え置いた。
 同日に発表された賃金や消費についての統計でも、所得減により個人消費が低迷する現状が浮かぶ。毎月勤労統計(6月)によると、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年比1・9%減と4カ月連続のマイナス。家計調査(同)では、1世帯当たりの消費支出が9カ月連続で前年同月を下回った。
 ニッセイ基礎研究所の上野剛志氏は、コロナで雇用環境が悪化した点を理由に「家計から消費に回せるお金は少ない」と分析。その上で、東京都などの首都圏で県をまたぐ移動の自粛が要請された点に触れ「8月に自粛ムードが高まれば消費はさらに冷え込む。経済がコロナ前の水準に戻るには年単位の時間がかかる」とみる。(大島宏一郎)

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