再委託「50%まで」過去に明記 経産省事業の一部、丸投げ防止

2020年9月4日 05時55分

◆現在は規制なし、持続化給付では97%

 持続化給付金事業の再委託問題を巡り、経済産業省の一部の部署で過去に、国の事業を受託した企業・団体が事業を再委託する場合、委託額の50%を上限にしていたことが分かった。業務の丸投げを防ぐためで、少なくとも2000年代には一定のルールが存在したとみられる。同省には現在こうした制限はなく、給付金事業を国から受託した一般社団法人は、ほぼ丸投げの97%を電通に再委託していた。 (森本智之、皆川剛)
 本紙が確認した政府の行政文書に記されていた。総務省が08年に中央省庁の委託契約の実態を調査した報告書によると、経産省の原子力安全・保安院(廃止)では「応募条件において『再委託比率を原則50%以内とする』としている」と明記。再委託を制限していたことが分かる。
 同省中小企業庁の文書の中にも、06年の民間公募の応募要項で「総額の5割以上を第3者に再委託することはできません」と説明したものがあった。

◆ルール緩和の理由や時期不明

 50%制限について、経産省会計課は「把握していないが、統一ルールではなく担当課の独自のものだった可能性もある。調べてみなければ分からない」と回答。ルールが緩和された理由や時期などは不明だ。
 2000年代半ばに退職した同省OBは「50%を超えるなら再委託先と直接契約するよう厳格に運用されており、制限は全省的だった。丸投げを防ぐためだ」と本紙の取材に答えた。
 現行ルールでは、事業の委託・外注先を記した体制図を提出するなどして理由を説明すれば、50%超の再委託も可能だ。これを受け、給付金事業の20年度1次補正予算分では、経産省から業務委託を受けた一般社団法人サービスデザイン推進協議会が委託費の97%の金額で電通に再委託していた。電通は持続化給付金を含め、過去6年で計72件の経産省の事業を4つの一般社団法人から再委託される形で受注。合計の再委託比率は89%に上る。
 電通は現在、給付金事業の業務の流れについての社内検証を終えるまで、再委託・外注先となることを含めて経産省の新規事業を受託しないと公表している。
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