改正コロナ関連法、罰則の事例は政令で列挙 野党「国会で議論なし」

2021年2月14日 06時00分
 13日に施行された新型コロナウイルス対応の改正関連法では、緊急事態宣言に至らない状況でも私権制限と罰則を伴う対策が取れる「まん延防止等重点措置」が新設された。違反した事業者に罰則を適用できる具体的な命令は、時短営業以外は法律に記されず、政府は法成立後に政令で命令の内容を定めた。国会での議論を回避するようなやり方に野党は反発している。
 改正法に基づき、都道府県知事はまん延防止措置区域で事業者に営業時間の変更などを要請でき、応じない場合は命令できる。命令に違反した事業者には、20万円以下の過料を科すことができる。命令に伴う立ち入り検査を拒否しても過料の対象になる。
 罰則を伴う命令を示した政令は法成立後の9日に閣議決定。▽手指の消毒環境の整備▽マスクを着けていない人の事業所への入場禁止▽従業員に対する検査受診の勧奨―などを挙げた。
 防止措置の実施要件は「都道府県において感染が拡大するおそれがある場合で、医療提供に支障が生じるおそれがあるとき」とし、病床数や感染者数などの基準は示さなかった。

◆「政府にフリーハンドあり得ない」

 野党は改正法成立前、具体的な命令内容を示さない同法を「罰則付きで私権を制限するのに政府にフリーハンドを与えるなどあり得ない」(共産党の田村智子氏)と批判。政令決定後の10日の衆院予算委員会では国民民主党の山尾志桜里氏が「政令で罰則を受ける行動が増えていくという法のつくりは問題だ。マスクを着けていない人は入場禁止というのは国会で議論していない」と反発した。
 緊急事態宣言は都道府県単位で指定されるが、まん延防止措置は市町村やさらに狭い特定の区域が対象。政府は緊急事態宣言に至る前だけでなく、宣言を解除する際のまん延防止措置区域への移行も想定している。(井上峻輔)

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