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生産管理と受注出荷の連携 ~営業活動と工場との関係~

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生産管理と受注出荷の連携 ~営業活動と工場との関係~

 

営業活動は主たるフィールドが生産活動と異なることもあり生産管理とは関係がなさそうに見えますが、実は密接な関係があります。
工場を安定して稼働させるためには自社の受注特性をよく理解し、時には制限をかけることも必要な場合があります。
今回は生産管理と受注出荷の関係について解説します。

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受注とMPS

工場の使命は受注したものを納期通りに出荷することです。
第4回のブログでMPS(基準生産計画)のお話をしましたが、受注はMPSの起点の一つであり受注してから物を作るなら簡単ですが、そうでないなら受注と出荷の特性をよく理解してMPSをどう立てれば納期を守れるかを考える必要があります。

具体的な例は第4回で書いていますのでここでは割愛して、まずは受注そのものをMPSとしていては工場が破綻しやすい、ということを述べたいと思います。

受注とMPS

後述しますが、受注は工場の都合をあまり考えてはくれません。急なキャンセルや納期繰上げ、数量変更などいつ何時変更されるかも分かりません。

また、最初から無理な納期で受注が来るかもしれません。もし受注をそのままMPSにしていては工場が追従できないことは明らかです。

完全受注生産なら自社の都合を押し通すことができるかもしれませんが、そうでないならこれらのイレギュラーもあるものとして生産計画を立てるしかありません。
そのためには受注情報をうまく加工・料理してMPSを立案することです。

受注情報の種類

ひと口に受注情報と言っても、その精度によっていくつかの種類があります。ここでは生産管理によく使用される受注情報を解説します。

⑴確定受注

正式に顧客から受けた注文の内容です。品番、数量、納期が明確であり、取引として成立したならばこの内容に従って出荷する必要があります。
業種によっては出荷指示=確定受注であるケースもあります。

⑵内示受注

「内示」とは、正式に書面で交わしてなくとも内々に約束したことを示し、ほぼ同じ内容で確定受注する予定のことです。

商取引のなかでは、受発注の量と時期を前もって開示することで実際の取引をスムーズにしたり納期遅延を防ぐ目的で内示受注のやり取りをすることがあります。
受注側から見れば、前もって需要が分かることで納期のかかる部品を前もって手配したり作業員の増員をしたり出来るので、入手できるのであれば有効活用したい情報です。

なお、出荷指示イコール確定受注となる場合は内示受注に従ってあらかじめ在庫を作っておきます。

⑶フォーキャスト

中長期的な時間軸での受注予定や需要見込みのことです。
得意先から貰える場合もありますが、多くは自社で予測したり商談の山積みをして需要を計算したりして算出する場合が多いです。

時間軸は1か月単位くらいの粗さで、例えば向こう三か月であればN月数量、N+1月数量、N+2月数量などといった表現をします。
この情報も工場側にとってはありがたい情報ではありますが、その精度はまちまちで得意先から貰える場合でも結構変動があったりしますので、生産計画に反映する範囲をあらかじめ決めておく必要があります。

以上がよく使われる受注情報ですが、これらをもとに第4回で述べたような方法で工場を円滑に運営できるMPSを立案します。
より具体的な方法はここでは書ききれませんので生産管理の書籍などを参考にしていただければと思います。

受注の統制

「受注情報の種類」で述べたような受注情報を駆使してMPSを立てたとしても、突発的に大量の受注を受けたら工場側も対応し切れるものではありません。
工場へのオーダーにもある程度のルールは必要です。

SEとして生産管理システムのヒアリングを行う際も、受注の統制についてよく話をさせていただいています。
無理でもなんでも受注を受け付けていては工場は安定稼働できませんよ、という旨で主には以下の2点をお話ししています。

⑴最短納期

製品ごとの最低必要な納期をあらかじめ決めておき、受注する際は最低納期を守ります。
工場は、最短納期で受注しても納期に間に合うように半製品や部材の在庫を用意して対応します。
もし受注即出荷しなければならないのであれば完成品在庫を持つしか手段はなくなります。

⑵締め切り

工場側は、MPSを立案するためにどこかで一旦受注の受付を止める必要があります。
とめどなく受注が流れてくるとMPSの見直しに明け暮れてしまいます。

来月度の計画を立てるためには当月のいついつが最終受付でそれ以降は翌月扱い、というふうに締め切り日を決めておきます。

あまり統制をかけすぎても営業活動がやりにくくなってしまいますので上記くらいを最低限のルールにするのがいいと思いますが、それ以外では例えば工場負荷を平準化させるために納期分散を行ったり、1日の受注量の上限を設定したりする場合があります。

出荷管理

工場としての責務は受注した内容に対して正確に出荷するまでとなります。正確にものづくりをしても出荷品質が悪いと顧客満足は得られませんし、売上にもつながりません。

出荷管理のポイントとしては納期管理と誤出荷防止が挙げられます。
納品にもリードタイムが必要ですから、納期を起点として輸送日数から出荷予定日を決め、梱包や荷積みの時間を遡って完成予定日を決めます。

予定通り納品するには出荷予定日をリスト化して物流作業の進捗を管理します。
出荷前日までに梱包や荷揃えを終わらせ、出荷当日に荷積みすれば工場としては完了です。
ここまでやって出荷実績情報をシステムにインプットすれば、出荷の進捗がコンピュータ画面上で確認できます。

また、出荷製品にJANコード等のバーコードがついていれば、それを読み取って受注情報と照合することにより間違った製品が出荷されることを防ぐことができます。
また同時に出荷実績データが作られるので一石二鳥になります。
この仕組みを「デジタル検品」「2点照合」などと言います。

出荷管理

おまけ(AIと需要予測)

お客様の要望をお聞きする中で最近よく出てくるキーワードが「需要予測」です。
AI(人工知能)など近未来的なキーワードもよく耳にするようになった昨今、コンピュータでの需要予測ができるのではないかという期待もあるようです。

しかし、現在のテクノロジーでは難しいと言わざるを得ません。
需要予測をしたい、という要望の真意は「自社では予測できないイレギュラーな需要を検知したい」という場合が殆どです。

つまり、営業マンでも予測できない将来の需要変動を計算機でできないかということです。
これは“風が吹けば桶屋が儲かる”ことを計算機で予測しろと言っているようなものです。

実際、数日先の気象予測でさえスーパーコンピュータが必要なのです。
そこへあとどれだけの計算を追加する必要があるでしょうか?

おまけ

まとめ

川の流れの如く上流が暴れていては下流も穏やかにはなりにくいものです。
生産管理においても受注は生産の上位にあたり、工場の安定稼働のための受注統制はある程度必要です。

商品の市場特性や生産形態にもよりますがMPSの立案方式とあわせて検討することが良いと思います。
さて、コンピュータによる需要予測ははたして可能になるでしょうか・・・?

筆者
プロフィール

星野拓 Takumi Hoshino
経歴:
自動車部品メーカーの設備技術者、物流システムメーカーのSEを経てトーテックアメニティに入社。
生産管理システムのプレSE及びプロジェクトマネージャとして豊富な導入実績を持つ。
第1種情報処理技術者
IoTエキスパート

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