日本刀鑑賞のポイント

日本刀の重さ
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日本刀の重さ 日本刀の重さ
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日本刀は、他国の刀剣と比べても、細身ですっきりとした姿をしているため、重さを感じさせず、軽やかに動くイメージです。時代劇などで、鮮やかな剣さばきを見かけますが、実際の日本刀にはどれくらいの重さがあるのでしょうか。日本刀は、軽金属が登場する前の時代の武器であるため、かなりの重量感があります。日本刀の重さや、実際に持ったときの違いなどについて詳しく見ていきましょう。

日本刀の重さはどれくらい?

大小二本差し

大小二本差し

江戸時代、武士達は打刀脇差、合わせて2振の日本刀を腰に下げていました。

当時は交通機関がなく、数10kmほど歩くのは普通のことです。

では、実際にどのくらいの負荷がかかっていたのでしょうか。日本刀の重さを踏まえ解説します。

平均的な重さは1kg前後

折り返し鍛錬

折り返し鍛錬

ほっそりとして薄く長い刃物である日本刀は、玉鋼(たまはがね)という純度の高い金属を幾度も折り重ね、鍛え上げて作られた物。

もともとの材料となるのは良質の砂鉄で、これを日本古来の「たたら」という方式により製鉄することで、日本刀の中心材料となる玉鋼が完成します。これを刀鍛冶が何度もたたいて引き延ばし、重ね合わせることにより、より密度の高い日本刀を作り上げるのです。

そのため、日本刀の内部はのっぺりとした物ではなく、何重にもなる薄い鋼鉄の層からできており、細身の外見とは裏腹に、ずっしりとした重さがあります。

日本刀を持ち歩くには、刀身(とうしん:抜身)の他に、「」(さや)や「」(つか:日本刀の持ち手)など、いくつもの部品が必要。刀身に柄と(つば)を付けただけの状態での重さは、平均して1kg前後と言われ、重い物では1.5kg程度の重さでした。徒歩で移動していたことを考えると、日常的に日本刀を腰に下げて歩くには、かなりの負荷がかかっていたと考えられます。

時代の変化と日本刀の重さ

古刀の重さ

古刀(太刀)の代表的な姿

古刀(太刀)の代表的な姿

古刀とは、901年(延喜元年)以降の平安時代中期から、江戸時代の直前である1595年(文禄4年)の、約700年間に作られた日本刀。古刀は、それ以降の新刀とは鍛錬法が異なりますが、詳しい技術は分かっていません。

古刀が扱われた平安時代中期から室町時代では、馬上での戦が中心となっていたため、甲冑(鎧兜)を着用しながら扱いやすい実用性が求められました。防御力の高い甲冑(鎧兜)を斬ったり打ち砕いたりするために、日本刀に高い強度を求める一方で、扱いやすい重さの実戦的な日本刀が必要とされたのです。

一般的な古刀は、2尺3寸(約70cm)前後で、約600~700g。例えば、刀剣ワールドが所蔵する直江志津の刀の重さは、約700gです。しかし、南北朝時代には長大な日本刀が流行し、刀身の長さが3尺(約90cm)以上ある「大太刀」が多く作刀され、重さも増していきました。愛知県の「熱田神宮」が所蔵している「太郎太刀」(真柄太刀)は、長さが7尺3寸余(221.5cm)で、重さは4.5kgもあります。

なお、古刀の長さにおいては、室町時代末期以降、従来の長く反りが深い優美な姿から、より実戦的な姿へと変わり、少しずつ短くなっていきました。

古刀が製造された期間は約700年間と長く、戦いでの必需品。そのため、大量生産された時期もありました。しかし一方で、戦乱によって多くの日本刀が消耗され、また時代が古いこともあり、相当数の古刀が失われています。そのため、現存する刀剣のうち古刀の割合は、3~4割程度にとどまると考えられているのです。

新刀の重さ

新刀の代表的な姿

新刀の代表的な姿

新刀とは、安土桃山時代末期から江戸時代中期1763年(宝暦13年)までの日本刀のこと。 江戸時代に入って戦いの場がなくなると、日本刀は、武器から武士の地位を表す象徴的な物へと変わっていきました。

それまでは身分に関係なく持つことができ、身を守るための必需品であった日本刀が、刀狩令により、持つことができるのが武士だけになったのです。江戸時代になると、上質の材料が安定的に供給されるようになったため、江戸や大阪などの大都市に刀工達が集まっていきました。

現在に多く残っているのは、こうした時代に作られた新刀で、平均的な重さは1kg前後。また、江戸時代には帯刀許可のあった武士達でも、幕府によって定寸(じょうすん:所持できる日本刀の長さ)が定められ、2尺3寸5分(約70cm)のものと制限されていました。

また、日本刀が実戦で使われることも少なくなったため、見栄えの良さや、おしゃれな造りの日本刀の需要が伸びていったのです。戦で使われる武器から、権威の象徴や美術品としての意味合いが強くなり、消耗品ではなく、継承する物へと日本刀の意義は移行していきました。そのため、新刀期の日本刀は健全な姿の物も多く残っています。

大きな合戦がなかった時代に作られた新刀は、戦国時代に作刀された末古刀(すえことう)に比べ、重く作られました。また新刀は、国産の均質な鉄が全国に流通するようになったことから、刀身全体の炭素量が均一になったため、古刀にあった柔軟性が失われ、折れやすくなったとも言われています。扱いやすく短くなっていった戦国期の末古刀よりも、新刀の重量が増した理由には、強度を補う必要性があったことも関係しているというのが、一般的な見解です。

新々刀以降の日本刀の重さ

新々刀

新々刀の代表的な姿

新々刀(しんしんとう)とは、1781年(天明元年)の江戸時代後期から、廃刀令が施行された1876年(明治9年)までに作られた日本刀のこと。新たな日本刀の需要が減り、各地の刀工が衰退していくなかで、名工「水心子正秀」(すいしんしまさひで)が「刀剣復古論」を唱え、古刀に回帰をしようとする動きがありました。

この動きが新々刀の興りであり、相州伝備前伝に倣った作風の豪壮で力強い日本刀が生み出されていきます。

江戸時代後期には、再び日本刀の需要が高まり、実戦向きの日本刀が多く作られました。幕末の動乱期には、「勤王刀」(きんのうとう)と呼ばれる、長大で反りが少なく、重量感のある日本刀が流行した一方で、洋装でも差しやすく扱いやすい、細く短い刀身の日本刀も登場。そのため、重さも700g~1.4kgと幅広い重量の日本刀が作刀されたのです。

また、廃刀令以降に作刀された日本刀を現代刀(げんだいとう)と呼び、諸外国と戦争をした際に使用されていた軍刀が多く作られました。

日本刀は実際の重さと持ったときの重さが異なる?

同じ重さの日本刀でも、何振か手にしてみると、軽く感じたり重く感じたりする場合があるのです。日本刀の造りの違いによる体感重量について解説します。

重心の位置によって体感重量が異なる

日本刀の体感重量は、刀身の重心がある位置が、柄寄りにあるのか、鋒/切先(きっさき)寄りにあるのかによって、同じ重量の日本刀でも、重く感じたり、軽く感じたりします。日本刀の姿は細長く伸びており、造りによって柄の長さも違うため、握る位置によって、バランスを取ることとなるのです。

しかし、握り方のみでバランスを取るには限界があります。例えば、長い棒のどこを持つかによって体感する負荷が違うように、日本刀そのものの重心位置の違いが、体感する重量に影響を与えるのです。

日本刀は、1振ずつ造りによって重心のある位置が違うため、実戦で扱う日本刀を選ぶ際には、単純な計測値だけではなく、実際に持って使用した感覚を確かめなければなりませんでした。常日頃より生活を共にする日本刀を選ぶ際には、体感する重量が大切な基準だったのです。

長さによっても体感重量は異なる

体感重量を左右するのは、重心の位置だけではありません。日本刀の長さによっても、感じる重量感は変わります。重さがほとんど同じで、長さが違う2振の日本刀を比べると、長い日本刀は、短い日本刀よりも重く感じられるのです。

長さと重さのバランスが自分に合っていないと、実際より重く感じ、扱いにくくなります。また、鍔は重心や長さを調節するのに重要な刀装具。鍔を(なかご)のどの部分に配置するかによって、重心や柄の長さが変わるのです。

同じ重量の日本刀でも、長さが多少変わるだけで、使用感がまったく異なると言います。日本刀は、ほんの少しの姿の違いによって、扱いやすさが変わってしまうのです。

体感重量を軽減する「手元重心」

手元重心とは

反り

反り

「手元重心」とは、文字通り手元の柄寄りに重心があること。手元に重心がある日本刀は、鋒/切先に重心がある日本刀よりも軽く感じられるため自由が利き、扱いやすく感じられます。また、左右に日本刀を振る際も、手元重心の方が思い通りに動かせるのです。

鍔で多少の重心を調整することは可能ですが、日本刀の重心は、反りがあることによって大まかな位置が決まります。平安時代後期から鎌倉時代前期の日本刀に多く見られる、「腰反り」という姿の日本刀は、手元に近い位置に反りの中心があるため、重心の位置も自然と、手元に近くなるのです。

腰反りの日本刀が作刀された時代の合戦は、馬上での戦が中心。当時は弓矢が合戦の主要武器とは言え、馬上で日本刀を抜く場合、片手で扱うことになります。手元近くに反りがあった方が、馬上で日本刀を抜きやすいという意味もありましたが、実際の重さよりも軽く感じられ、自由に扱いやすい手元重心の日本刀が、当時は重宝したのです。また、現代の居合道などでは、素早さが重視されるため、手元重心である方が、バランスが良いと言われています。

一方で、手元重心の日本刀にもデメリットが存在。日本刀は、切れ味のみでなく、日本刀自体の重さやバランス等を利用して、武器としての威力を発揮しますが、重心が手元にあるために、重さがうまく伝わらず、打撃力や切れ味も低下してしまうのです。さらに、重心が手元近くにあることにより、わずかなブレが刃筋に伝わりやすくなり、打ち込みの位置もずれてしまいます。軽く扱いやすいということは、一般的にはメリットとなりますが、日本刀を振り下ろすときには必ずしも有利にはならない場合もあるのです。

重く扱いにくく感じる「先重心」

「先重心」とは、手元重心とは逆に、鋒/切先寄りに重心がある日本刀のこと。先重心の日本刀を持つと、実際の重さ以上に重みを感じやすいという特徴があります。先重心となる日本刀の大まかな姿は、「先反り」と呼ばれる、反りの中心が鋒/切先近くにあるものと、「無反り」と呼ばれるほとんど反りのないものが代表的です。先反りは、室町時代から戦国時代にかけて多く作刀され、無反りは江戸時代に多く作刀されました。

室町時代から戦国時代にかけて、合戦の規模が大きくなっていくと、馬上での戦から徒歩(かち)での戦へ転換していきます。特に戦国期は、武士だけでなく、農民も足軽として参戦していた時代。そのため、鋒/切先近くに反りのある日本刀は、より鋭く切れ込みが入るため、切り傷を相手に与えやすいというメリットがありました。

また先重心は、扱う人間にも負荷がかかりますが、同じく斬り付ける相手にも重さが伝わりやすいのも特徴。そのため、足軽など武芸に優れた者でなくとも、日本刀の重みで相手に致命傷を与えることができる、先重心の日本刀が重用されたのです。重たい一撃を対象に与えやすいのは、手元重心の日本刀よりも、先重心の日本刀だったと言えます。

現代の実践用に適した日本刀の重さ

実践用の刀剣に求められるもの

現代では、居合道などが日本刀を実際に使用できる場です。現代の実践で求められる日本刀は、居合試し斬りなど、実際に扱う場面での使いやすさや、使用者と日本刀の一体感が重要。日本刀を素早く自在に扱うことができることに加え、試し斬りなど、実際に対象物を切断することができる強度や、適度な重量感も必要となります。

実際に日本刀を扱う際に重要視されているのが、全体のバランス。例えば、先重心が勝ちすぎており、実際の重量以上に重さを感じてしまい扱いにくい場合、柄の形状や鍔を変えたりするなどの工夫を必要とします。万人が扱いやすい性能の日本刀はなく、ひとりひとりの感覚に左右されることが多いため、適切な重さ、姿かどうかを必ず手に取って確かめることが重要です。

刀剣ワールドが収蔵している日本刀の重さ

刀剣ワールドが収蔵している日本刀について、実際の重さがどのくらいなのか、打刀と短刀の2振をご紹介します。

刀 無銘 伝吉岡一文字

この日本刀は、鎌倉時代後期に備前国吉岡に住した刀工「吉岡一文字」により作刀されたと伝えられる日本刀。長さは70.3cm、反りは2cmで、手元寄りの腰反りになっています。重量を量ってみたところ、(こしらえ:日本刀の外装のことで、鞘、柄、鍔を指す)を付けていない状態で、811gでした。手元重心になるため、柄を握った際の負担は少ないですが、実際手に持つとずっしりとした重量感があります。

刀  無銘  伝吉岡一文字
刀 無銘 伝吉岡一文字
無銘
鑑定区分
重要美術品
刃長
70.3
所蔵・伝来
刀剣ワールド財団
〔 東建コーポレーション 〕

短刀 銘 村正

本短刀は、表の茎に「村正」とが切られた、伊勢国桑名(現在の三重県桑名市)で栄えた「村正一派」によって作刀された日本刀です。長さは22㎝で、直刀のように反りはありません。実際の重さは115gでしたが、反りがないため柄を握ったときに、実際の重さよりも少し重たく感じられます。

短刀 銘 村正
短刀 銘 村正
村正
鑑定区分
特別保存刀剣
刃長
22
所蔵・伝来
刀剣ワールド財団
〔 東建コーポレーション 〕

まとめ

日本刀を持ち上げる女性

日本刀を持ち上げる女性

日本刀は、実際に持ってみると繊細な外見以上にずっしりとした重量感があるもの。日本刀の姿や重さは、時代の需要に合わせて変化してきました。

日本刀は、同じ重量のものでも、姿や重心によって重くも軽くも感じられます。日本刀は武器として進化してきており、使用者に合わせた刀身の重さや長さ、柄や鍔などの刀装具を含めたバランスが重要なのです。

また近年、博物館などの展示施設で、日本刀の「試し斬り」ができるイベントなどが開催されています。実際に日本刀を扱ったときの重さを体感したい方は、イベントの開催日などを調べ、ぜひ体験に行ってみると良いでしょう。

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