自転車での日本一周を目指して今春、藤沢を出発した亀井野在住の堀旦(ただし)さん(25)が10日、帰着し目標を達成させた。足かけ224日、こぎにこぎ続けた走行距離は実に1万3931・9Km。猛暑や台風、ハプニングに見舞われながらも、出会う人々の優しさに支えられた旅路だった。
「人生観が変わった。大変だったことも含めて、(日本一周に)出てよかった」。日焼けした肌から白い歯をのぞかせる。
堀さんは4月1日に藤沢を出発。北海道を目指して太平洋沿いを北へ進み、時計回りで47都道府県全てを制覇した。
元保育士で、4年間勤務したのを機に退職。元々人付き合いが苦手で、色々なことをネガティブに捉えてしまう性格。「そんな自分を変えたい」と一念発起した。
一日平均約100Km。雨の日も風の日もペダルをこぎ続けた。自転車にのせたのは必要最低限の装備のみ。寝泊りは野宿が大半で途中、台風で足止めを余儀なくされたり、ニュースで報じられる警察署から逃走した男と勘違いされ、通報されるハプニングもあった。
それでも旅先で出会う人が食事を振る舞ってくれたり、ときには自宅に泊めてくれたり。「一人でどこまで出来るか試すつもりだったけど、自分の力だけじゃ何もできない。人の親切が身に染みた」と振り返る。
被災地の今を見て
最も印象に残ったのが東日本大震災の被災地を訪れたとき。津波で74人の児童が犠牲になった宮城県石巻市立大川小学校で思いを馳せた。「自分が同じ状況にいたら、子どもたちを避難させるためにどんな判断をしただろう」。元保育士だけに、自問せずにはいられなかった。その後も東北沿岸部を巡り、今も復興のために懸命に働く人々や地域の営みを目にしながら、被災地の今を実感。同時にこうも思った。「こんなにがんばっている人たちがいる。自分はなんて小さなことで悩んでいたんだろう」
旅を終えて今感じることは「少しは客観的に物事を考えられるようになったかな」。いつかまた保育士として子どもたちと携わりたいとの思いもある。「旅を通じてたくさんの気づきがあった。子どもたちの可能性を広げてあげられるような人間になっていけたら」とほほ笑んだ。
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